【Power Automateではじめる業務の完全自動化】実務直結のノウハウが満載! 本連載では、企業へのMicrosoft 365の導入や活用支援を手がける著者・太田浩史氏による、Power Automateを使った業務自動化のノウハウを提供します。

基本編|Power Automateとは「何か」を知ろう
LESSON 02

仕組みと用語を理解しよう

必ず知っておくべき基本は、「トリガー」「アクション」「コネクタ」「接続」の4つだけです。Power Automateで作成できる自動処理のほとんどは、この4つの応用と組み合わせです。学習をスムーズに進めるためにも、基本の4つをしっかりと理解しましょう。

フロー作りの基本「トリガー」と「アクション」

Power Automateで作成する自動処理を「フロー」または、処理がクラウド上で実行されることから「クラウドフロー」と呼びます。フローの基本は「もし〇〇が起きたら△△する」というように、「トリガー」となる実行条件と、実行される処理の「アクション」を組み合わせることです。

「トリガー」は必ずフローの一番上に追加され、フローが実行される「きっかけ」となる条件を指定できます。トリガーには、例えばメールが届いたら実行するというように、接続先のクラウドサービスの特定のイベントをきっかけに実行されるもののほか、あらかじめ指定したスケジュールに従って実行されるもの、手動で実行されるものの3種類があります。

仕組みと用語を理解しよう|Power Automateではじめる業務の完全自動化

トリガーの下には複数の「アクション」を追加することができます。アクションにはメール送信など接続先のクラウドサービスの特定の処理を実行するもののほか、接続先のクラウドサービスからデータを取得するものなどがあります。アクションで取得したデータをほかのアクションの実行時に利用することで、複数のクラウドサービスを連携させて利用できます。

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このようにフローは、1つのトリガーと1つ以上のアクションの組み合わせで作成されます。そして、それらの処理は必ず上から下に流れるように実行されます。実行中は1つ前の処理に戻ることはできません。つまり、1つ前の処理をもう一度実行したい場合は、さらに下に同じ処理を実行するアクションを追加する必要があります。また、フローの途中から処理を実行することもできません。これはPower Automateで作成する自動処理の大前提となる基本ルールです。

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クラウドサービスごとに用意されている「コネクタ」

Power Automateからクラウドサービスに接続するために「コネクタ」が用意されています。コネクタによって、クラウドサービスへ接続するために必要な認証などの複雑処理を意識することなく、簡単に利用できます。

各クラウドサービスに応じたコネクタには、先ほど紹介したトリガーやアクションが含まれています。例えば「Office 365 Outlook」のコネクタには、「新しいメールが届いたとき」トリガーや「メールの送信」アクションなどが、「OneDrive for Business」のコネクタには、「ファイルが作成されたとき」トリガーや「ファイルの作成」アクションなどが含まれます。

コネクタとアクションはセットになっているので、人に伝える必要があるときには「Office 365 Outlookコネクタのメールの送信アクション」のように「〇〇コネクタの◆◆アクション」と呼ぶと分かりやすいでしょう。

Power Automateのコネクタには「標準コネクタ」と「プレミアムコネクタ」の2種類があります。プレミアムコネクタを利用するためには、Power Automateのスタンドアロンライセンスの購入が必要です。

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認証情報を管理する「接続」

クラウドサービスを利用するにはIDやパスワードを利用したサインインが必要なように、Power Automateからクラウドサービスを利用するにも同様の認証情報の登録が必要です。Automateでは、各クラウドサービスの認証情報を「接続」として保持し管理しています。 接続はコネクタをはじめて利用する場合に自動的に作成されるほか、[接続]の一覧画面からも追加や確認ができます。

仕組みと用語を理解しよう|Power Automateではじめる業務の完全自動化

新たな接続を追加するためには、対象のクラウドサービスを利用するためのIDやパスワードの情報が必要です。そのため、ほとんどの場合には、自分で所有しているアカウントの認証情報でしか接続を追加できません。また、Power Automateで実行されるトリガーやアクションは、接続に追加された認証情報のアカウントの権限でしか動作しません。つまり、Power Automateを利用し接続先のクラウドサービスに対して実行できる処理は、自分のアカウントの権限範囲内でできる処理のみになります。この制約も、Power Automateでフローを作成する際に覚えておくべき基本ルールです。

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達人のノウハウPower Automateの学習方法

Power Automateの学習を効率よく行うには、一緒になって学ぶ仲間が大切です。励まし合ったり愚痴を言い合ったりする仲間の存在が、学習を継続するモチベーションに大きく影響します。特にPower Automateでは、自分が作成したフローを誰かに自慢したくなるはずです。はじめて業務を自動化できたときの喜びは忘れられません。社内にPower Automateを学ぶ同僚がいる場合には、作成したフローを見せ合ったり、相談し合ったりする定期的な機会を作ることをおすすめしています。

Power Automateでは、基本要素の組み合わせが非常に多くあります。それを一人ですべて学んで覚えようとするのは不可能に近いと思います。SNSでも、Power Automateについて情報を発信している人が多くいます。そうした情報に触れることも刺激になりますし、もし機会があれば自分でもSNSに投稿してみましょう。情報を発信する人の元には、さらに多くの情報が集まってきます。

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