【失敗しないためのGoogle検索広告「超」入門】 書籍『「本業が忙しくて広告まで手が回らないよ!」という人のためのGoogle検索広告入門』の著者である今井悠人氏が、Google検索広告でムダな予算を使わずに「自社に合った見込み客」だけを集めるためのノウハウを、全3回の記事で紹介します。

自動入札を活用して効率よく成果を最大化しよう

第1回ではキーワード選定、第2回ではマッチタイプの使い分けを解説してきました。キーワードとマッチタイプが決まったら、次に考えるべきは「いくらで入札するか」です。ここで入札設定を間違えると、クリック単価が想定以上に高騰したり、反対に広告がほとんど表示されなかったりと、広告の効果が出づらくなってしまいます。

最終回となる第3回では、初心者が選ぶべき入札戦略の種類と、設定するうえでのコツを解説します。結論から言うと自動入札戦略を選ぶべきではありますが、複数の種類があり設定で気をつけるポイントもいくつかあるので、失敗しないためのノウハウを紹介していきます。

入札戦略とは広告のクリック単価を決める仕組みのこと

入札戦略とは、1回のクリックに対する上限金額をどのように決めるかの方針設定です。

Google検索広告の掲載順位は、オークション形式で決まります。ユーザーが検索するたびにオークションが発生し、広告主が設定した入札価格と広告の品質(ユーザーにとって該当の広告が有用で利便性が高いかを評価する指標)などをもとに、広告をどの位置に表示するかがリアルタイムで決定されます。

入札戦略の種類は、大きく分けて「手動入札」と「自動入札」の2つがあります。

手動入札は、キーワードごとに「1クリック当たり最大○○円まで」と広告主が自分で上限額を設定する方式です。細かくコントロールできる反面、キーワードごとに単価を設定・調整する必要があり、運用の手間がかかります。

自動入札は、GoogleのAIが設定した目標にあわせて入札額を自動で調整してくれる方式です。「クリック数を最大化したい」「コンバージョン数を最大化したい」といった目標を選ぶだけで、あとはGoogleが最適な入札額をリアルタイムで計算してくれます。

入札戦略の選び方

「手動入札」が最も細かくコントロールでき、「自動入札」が最も効率よくリアルタイムに最適化されます。

広告運用初心者に自動入札をおすすめする3つの理由

以下の3つの理由から、初心者には自動入札をおすすめしています。

  1. 入札調整の経験がなくても成果を出しやすい
  2. 手動では追いきれないシグナルを加味して運用できる
  3. 入札調整に時間を取られず、改善や本業に集中できる

入札調整の経験がなくても成果を出しやすい

自動入札では、GoogleのAIが検索が発生するたびに入札額を自動調整します。手動入札のように「このキーワードは○円に設定。クリック単価が高すぎたら○円に下げよう」と細かく調整する必要がないため、入札調整の経験やテクニックがなくても始めやすい仕組みになっています。

手動では追いきれないシグナルを加味して運用できる

自動入札は入札額を決める際、下表のようにユーザーのデバイス、時間帯、地域など、さまざまなシグナルをリアルタイムで分析しています。

シグナル 説明
オーディエンス ユーザーの性別・年齢
デバイス ユーザーの使用デバイス
地域・所在地 配信エリア設定・ユーザーの所在地
地域に関する意図 配信エリアに関する意図(対象外地域でも配信エリアに関心があるか)
曜日と時間帯 検索する曜日と時間
リマーケティングリスト リスト内外かどうか・リストに登録されてからの経過時間
表示言語 ユーザーのブラウザ言語設定
ブラウザ ユーザーが使用しているブラウザ
OS ユーザーが使用しているオペレーティングシステム
実際の検索語句 キーワードではなく検索語句も考慮
検索ネットワークパートナー 広告掲載される検索パートナーサイト

※検索キャンペーンに使われるシグナルのみ抜粋
参照:Google広告ヘルプ スマート自動入札について入札単価調整について

例えば「りんご 通販」という検索でも、「平日の昼にスマートフォンから検索した人」と「休日の夜にパソコンから検索した人」では、購入に至る確率が異なるかもしれません。自動入札はこうした違いを瞬時に判断し、コンバージョンしやすいユーザーには入札額を上げ、そうでないユーザーには抑える、といった調整を自動で行ってくれます。

これを手動で再現するのは現実的に不可能です。よって、原則自動入札を選ぶことを推奨します。なお、こうしたシグナルを活用してコンバージョンしやすいユーザーを判別できるのは、コンバージョン系の自動入札戦略(「コンバージョン数の最大化」「目標コンバージョン単価」)などの場合です。「クリック数の最大化」はクリック数を増やすことが目的のため、コンバージョンの見込みに基づいた入札調整は行われないので、注意してください。

入札調整に時間を取られず、他の改善や本業に集中できる

手動入札でキーワードごとに単価を調整し続けるには、相応の時間が必要です。広告運用に専任の担当者を置けない中小企業や、本業の合間に広告を運用している人にとって、入札調整の時間を機械学習に任せられるのは大きなメリットです。

もちろん、自動入札でもクリック単価やクリック数の推移を確認することは必要ですが、入札額そのものを調整する手間は大きく削減できます。空いた時間を、前回解説した検索語句レポートの確認や広告文の改善、あるいは本業にあてるほうが、成果につながりやすいはずです。

選ぶべき自動入札戦略とステップアップの推奨手順

自動入札にはいくつかの種類がありますが、初心者がまず押さえるべきは下表に挙げる3つです。他にも種類はありますが、まずはこの3つを理解しましょう。

入札戦略 目的 最適化の対象 導入目安
クリック数の最大化 アクセスを集める クリック数 運用開始直後
コンバージョン数の最大化 コンバージョンを増やす コンバージョン数 運用開始直後もしくは、過去30日で30件以上のCVを獲得できたとき
目標コンバージョン単価 指定のコンバージョン単価で獲得する コンバージョン単価 過去30日で30件以上のCVを獲得できたとき

自動入札では、段階的にステップアップして設定していくのが失敗しない進め方です。以下のように運用していくことをおすすめします。

ステップ1:まずは「クリック数の最大化」で始める

配信を始めたばかりの段階では、コンバージョンデータがありません。この状態では、コンバージョン系の入札戦略を選んでも、Googleが入札を最適化する材料がないため、広告がほとんど表示されないことがあります。

そのため、最初は「クリック数の最大化」を選びましょう。この戦略は、設定した予算でできるだけ多くのクリックを集めることを目的としています。コンバージョンデータがなくても機能するため、まずはアクセスを集めてデータを蓄積する段階に適しています。

なお、最初からコンバージョン数の最大化で始めて成果が出るケースもあります。ただし、コンバージョンデータが少ない段階では、GoogleのAIがコンバージョンしやすいユーザーを判別しきれず、クリック単価が著しく高騰してクリック数がほとんど集まらなかったり、インプレッションがほぼ出なくなくなる場合があります。

大きな失敗を避けるという観点では、まずクリック数の最大化でデータを蓄積し、コンバージョンが出始めてから切り替えることをおすすめします。

ステップ2:CVデータが溜まったら「コンバージョン数の最大化」へ切り替える

クリック数の最大化で運用を続け、コンバージョンデータが蓄積されてきたら「コンバージョン数の最大化」への切り替えを検討しましょう。コンバージョン数の最大化は設定した予算の中で、コンバージョン数が最大になるように入札額を自動調整します。クリックを集めることではなく、成約につながるクリックを優先する配信に変わるため、コンバージョンが獲得しやすくなります

切り替えの目安としては、過去30日間で30件程度のコンバージョンが理想です。ただし、これはGoogle広告公式ヘルプに記載の推奨要件であり、あくまで目安です。筆者の経験上、月に15〜20件程度や数件程度でもコンバージョンが安定して獲得できるケースはあります。ただし、いずれにしても、コンバージョンがほとんど発生していない段階での切り替えは失敗する確率が高まります。

ステップ3:さらに安定したら「目標コンバージョン単価」で効率を上げる

コンバージョン数の最大化で安定した成果が出るようになったら、「目標コンバージョン単価」に切り替えましょう。Google広告の管理画面上で、コンバージョン数の最大化設定をしたうえで[目標コンバージョン単価を設定]のチェックを付け、単価を設定するだけで完了します。

入札戦略の選び方

コンバージョン数の最大化で成果が安定したら、[目標コンバージョン単価を設定]にチェックを付け、具体的な目標コンバージョン単価を指定します。

目標コンバージョン単価は「1件のコンバージョンを○○円以内で獲得したい」という目標を設定し、その範囲内でコンバージョン数を最大化する戦略です。例えば、目標コンバージョン単価(目標CPA)を5,000円に設定すれば、Googleは1件当たりの獲得コストが5,000円前後に収まるように入札を調整します。うまく機能すれば希望のCPAで獲得が進み、費用対効果の改善が期待できます。

ただし、目標CPAを低く設定しすぎると、入札額が抑えられすぎて広告の表示回数が大幅に減り、コンバージョンが取れなくなることがあります。まずは直近の実績CPAと同じか、やや高めの金額から始めて、徐々に下方調整することを推奨します。

また、獲得できるコンバージョン数が少なくなってくると、目標コンバージョン単価がうまく機能しなくなる場合があります。その際は、コンバージョン数の最大化やクリック数の最大化に戻すようにしましょう。

自動入札を設定するうえでの注意点

自動入札は便利な仕組みですが、いくつか気をつけるべきポイントがあります。これらを押さえたうえで導入を進めると、さらに失敗確率が下げられるでしょう。

コンバージョン計測とキャンペーンへの紐付けを済ませておく

コンバージョン数の最大化や目標コンバージョン単価といったコンバージョン系の自動入札戦略は、コンバージョン計測が設定されていないとまともに機能しません。GoogleのAIが何を成果として最適化すべきかを判断できないためです。

入札戦略の選び方

コンバージョン目標の設定画面を開き、自動入札の最適化対象にしたいコンバージョンポイントが含まれているかを確認します。

さらに、コンバージョン計測を設定するだけでなく、そのコンバージョンアクションをキャンペーンのメインのコンバージョンとして紐付けておく必要があります。紐付けができていないと、自動入札の最適化対象になりません。キャンペーンのコンバージョン目標に、入札の最適化対象にするコンバージョンポイントが含まれているか見ておきましょう。

コンバージョン計測の設定手順は本記事の範囲を超えるため割愛しますが、コンバージョン系の入札戦略を使う前に、必ず次の2つの点を確認してください。

コンバージョン数の最大化はクリック単価が急騰することがある

コンバージョン数の最大化は予算内でコンバージョン数を最大化することを最優先するため、クリック単価の上限を考慮しません。そのため、GoogleのAIが「このクリックはコンバージョンにつながる可能性が高い」と判断した場合、1クリックに著しく高い入札価格が設定されることもあります。

実際に筆者が経験した事例では、それまで数十円のクリック単価で収まっていたいキーワードが、コンバージョン数の最大化を導入した途端に1,000円台まで高騰してしまったことがありました。

クリック単価の急騰により、予算が一気に消化されてしまうケースがあるので、運用開始後はクリック単価の推移を注視してください。

クリック数の最大化でも上限クリック単価は設定できる

「自動入札だとクリック単価がコントロールできないのでは?」と不安に思う人もいるかもしれません。実はクリック数の最大化には、上限クリック単価を設定するオプションがあります。例えば上限を200円に設定すれば、Googleはそれを超える入札を行いません。

入札戦略の選び方

クリック数の最大化の設定画面で、[上限クリック単価による入札の上限を設定]にチェックを付けることで、1クリック当たりの上限金額を指定できます。

想定外に高いクリック単価が発生するリスクを抑えつつ、自動入札のメリットを生かせる設定なので、不安な場合はこのオプションを活用してください。

なお、コンバージョン数の最大化や目標コンバージョン単価でも上限クリック単価を設定したい場合は、ポートフォリオ入札戦略という機能を使えば可能です。本記事では設定方法は割愛しますが、運用に慣れてきたら検討してみてください。

切り替え直後の学習期間は焦らず待つ

入札戦略を切り替えた直後は、GoogleのAIが新しい戦略にあわせてデータを学習する期間に入ります。この学習期間はケースバイケースですがおおむね5日ほど続き、その間はインプレッションやクリック単価が不安定になることがあります。

自動入札に慣れていないと、この変動を見て「切り替えたのは失敗だった」と焦って元に戻してしまいがちですが、学習期間中の一時的なブレは正常な挙動です。もどかしいですが学習期間中はブレを許容して待つようにしましょう。

入札戦略の選び方

入札戦略を切り替えた直後はステータスが「入札戦略学習中」となり、詳細画面から残りの学習期間の目安を確認できます。

細かなコントロールには手動入札も選択肢に含める

初心者の人には原則自動入札をおすすめしますが、クリック単価をキーワード別で細かくコントロールしたい場合は、個別クリック単価(手動入札)も選択肢になります。個別クリック単価では、キーワードごとに「1クリック当たり最大○○円まで」という上限クリック単価を設定します。

上限CPCの目安は、「目標CPA×想定コンバージョン率」で算出できます。例えば、目標CPAが5,000円、想定コンバージョン率が2%であれば、5,000円×2%=100円が上限CPCの目安です。キーワードによってコンバージョン率は異なるので、この割合を調整しながら妥当なクリック単価を見つけていきましょう。

ただし、これはあくまで計算上の目安です。実際には競合の入札状況によって必要な単価は変わりますし、上限CPCが低すぎると広告が表示されないこともあります。個別クリック単価は、キーワードごとに単価を設定し、成果を見ながら調整し続ける必要があるため、運用の負荷は自動入札に比べて高くなります。

入札調整に時間をかけられない人や、上限CPCの計算に自信がない人は、無理に手動入札を選ぶ必要はありません。クリック数の最大化で始めればGoogleが自動で入札を調整してくれるだけでなく、上限クリック単価も設定可能です。

キーワード単位で細かく入札価格を設定する必要がない場合は、まずはクリック数の最大化からスタートすることを推奨します。

まとめ

本記事のポイントは、以下の3つです。

  • 広告運用になれていない場合は自動入札を選ぶ
    GoogleのAIに入札を任せることで、入札調整の経験がなくても成果を出しやすい
  • ステップを踏んで入札戦略を切り替える
    クリック数の最大化→コンバージョン数の最大化→目標コンバージョン単価の順に、データの蓄積にあわせて段階的にステップアップする
  • 切り替え後の学習期間は焦らない
    入札戦略の変更直後の学習期間中は成果がブレることがあるが、正常な挙動なので慌てて戻さない

本連載では、Google検索広告で失敗しないための初期設定を3つの切り口で解説してきました。

連載回 テーマ 鉄則
第1回 何を狙うか(キーワード選定) 購入意欲の高い「Doクエリ」に絞って登録する
第2回 どこまで広げるか(マッチタイプ) まずは完全一致で始め、フレーズ一致で広げる
第3回 いくらで買うか(入札戦略) 自動入札でステップアップしていく

広く集客したいという気持ちをグッとこらえて、まずは「狭く、確実に」始める。成果を確認しながら、徐々に範囲を広げていく。この考え方は、キーワード選定でも、マッチタイプでも、入札戦略でも共通しています。

Google検索広告は正しい順番で設定すれば、少額予算でもムダなく見込み客を集められる優れた広告手法です。本連載の内容を参考に、ぜひ自社の広告運用に取り組んでみてください。

また、本連載で解説したキーワード選定・マッチタイプ・入札戦略に加え、アカウントの開設方法から運用時にやるべきことまでをステップ・バイ・ステップで学びたい方は、私が執筆した『「本業が忙しくて広告まで手が回らないよ!」という人のためのGoogle検索広告入門』もぜひご覧ください。

これから初めてGoogle検索広告を出稿する人はもちろん、一度チャレンジしてみたがうまくいかなかった人にも活用いただける内容になっています。

プロフィール

今井悠人(いまい ゆうと)
株式会社オンジン 代表取締役

Web広告代理店にて、100業種・1,000を超える広告アカウントの運用や広告運用者の教育に従事した後、2022年に株式会社オンジンを設立。Google、Yahoo!、Microsoftといったリスティング広告に加えてMeta、X、LINE、TikTokなどのSNS広告、コンテンツマーケティングにも精通している。

中小企業を中心に広告運用代行を行っており、月額20万円の広告費で売上を240万円伸ばすなど、少額で始めて成果につなげた多数の実績を持つ。「人の幸せを真剣に考えていれば成果はついてくる」を信条に、ユーザーニーズに寄り添った施策を実行し、クライアントのビジネス拡大を支援。

株式会社オンジン

「本業が忙しくて広告まで手が回らないよ!」という人のためのGoogle検索広告入門
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