(2014年4月9日)
テレビを見ていると、ニュース番組で「Windows XPのサポートが昨日までで終了」という話題が大きく取り
上げられていた。自分のパソコンもWindows XP だけど、いつもどおりに起動したし、問題なく動いている。どうやら、サポートが終了しても使えないわけではなさそうなので、一安心。
2014年4月9日以降も、Windows XPパソコンは従来どおりに動く
よくわからないけど、説明どおりにすれば大丈夫だろう
(2014年4月20日)
利用しているネットバンクから「Windows XP をお使いのお客様へ」というメールが届いた。「そういえば、
Windows XP のサポートが終わったんだっけ」。先日のニュースを思い出した。長いメールをざっと読むと、Windows XPから接続するには新しいプログラムが必要になるとのこと。メールの説明に従って、プログラムをインストールしておいた。
(2014年4月28日)
いつもよりパソコンの起動や動作が遅いような気もしたが、気にせずメールをチェック。連休中に会う約束を
していた友達より、自分のメールアドレスから変なメールが届いたとの連絡があった。しかし、身に覚えがなく、メールソフトの送信履歴にもなにもなかったので、気にしないことにした。
トラブルのきっかけには、気付けないことが多い
トラブルが起きたみたいだけど、関係ないよね
(2014年5月5日)
自宅のパソコンで報告書を作っていたら、テレビで、大手通販サイトがインターネットを通じた攻撃でアクセス不能になり、顧客情報の一部が漏えいしたとのニュースが流れていた。今までにない大規模な被害とのことで、「大変だなぁ」と思いつつ、そのまま仕事を続けていたら、いつのまにかパソコンを起動したまま眠ってしまった。
(2014年5月12日)
社内で「Windows XP の利用について」というアンケートが回ってきた。先日の大手通販サイトの被害が、Windows XPの脆弱性を悪用した攻撃によるものらしく、社内でも利用状況を調査しているとのこと。自宅のパソコンは普通に使えているし、面倒なので、「使っていない」と回答しておいた。
「面倒だから」「よくわからないから」という考えにつけ込まれる
どうして!? 自分は普通に使っていただけなのに!
(2014年5月20日)
不意に上司から呼び出しが。どうやら、以前に自宅で作って提出した報告書と同じものが、SNS で公開されているとのこと。同時に、友達からもメールで、「なんかファイルが添付されたメール届いたけど」との連絡が。開いてみると、自分が作った報告書だった......。情報漏えい事件として、詳しい調査を受けることになった。
(2014年5月26日)
社内の調査チームによる調査を受けるも、身に覚えがないので、そのことを主張。自宅のパソコンについて再度問われたので、今度は正直にWindows XP を利用していることを告白すると、自宅のノートパソコンを調査のために会社に提出することになった。
ある日突然、身に覚えのないトラブルが発覚する
あのときのメールが原因だなんて、信じられない!
(2014年6月4日)
調査の結果、原因は自宅のパソコンにインストールされたマルウェア(悪意を持って作られた有害なプログラム)だとのこと。4 月に届いたネットバンクからのメールだと思っていたものが、実は偽装メールで、その説明に従ってインストールしたプログラムが、サポートが終了したWindows XP の脆弱性を突くマルウェアだったことがわかった。
しかも、ゴールデンウィーク中に大手通販サイトを攻撃したマルウェアと同一で、自分のパソコンからも攻撃が仕掛けられていた可能性が高いという。知らない間に、マルウェアの感染を広げるためのSNS への書き込みやメールの送信も大量に行われていたようで、完全にパソコンが乗っ取られていたことが判明した。
信頼する相手になりすまして、マルウェアが送り込まれることがある
なぜ自分だけがこんなことに......
(2014年6月16日)
現在は、大手通販サイトの事件との関連もあり、警察からの取り調べもあるかもしれないとのことで、自宅で
待機中。迷惑をかけた友達や同僚に謝罪の電話をしたり、スマートフォンに届くメールに謝罪したりする日が続いている。
会社の処分は追って連絡があるとのことだが、どのような処分が下るかはまだわからない。そのうえ、大手通販サイトからも訴えられてしまうのかどうか、不安でならない日々を過ごしている。
ほかにもWindows XP を使っていた友達はいたが、自分の事件を耳にして、すぐにパソコンを買い換えたとのこと。特にトラブルはなかったそうだが、「怖くなった」とのことだ。「どうして自分だけ?」と、悔やまれてしかたがない。
トラブルは周囲を巻き込む大規模なものになりやすい