優れた機動性で新たなWebの楽しみが生まれる
大変安価で購入しやすい小型モバイルPCですが、基本的な用途は従来の20万円以上するノートPCと変わりません。インターネットやメールを楽しむのはもちろん、調べ物をしながらオフィスソフトで文書を作ったり、趣味のブログを更新したりできます。加えて、小型・軽量であることから生まれる機動性、周辺機器やWebアプリケーションの活用により、ビジネスでもプライベートでも活躍してくれることでしょう。
ただ、低価格かつ小型であるがゆえに、高級なデスクトップPCのような性能が要求される作業は行えない場合もあります。小型モバイルPCでできることを具体的に見ていきましょう。
●Webのニュース記事やメールをチェックする
小型モバイルPCの機動性を最大限発揮して、出掛けた先でもインターネットに接続し、ニュースサイトやお気に入りのブログの記事、天気予報や地図などをチェックできます。気になるキーワードをいつでもGoogleなどで調べられる、知的好奇心を満足させるツールとして活躍するでしょう。 同様に、これまでは自宅や会社のデスクでしかできなかったメールチェックが、街のカフェや電車内でもできるようになります。思いついたことをいつでもその場でメールでき便利です。
また、込み入った内容のメールは、PC のように広い画面とキーボードを備えた端末のほうが、携帯電話よりも格段に作業しやすくなるでしょう。
●Webアプリケーションを仕事や趣味に生かす
「Gmail」や「Googleドキュメント」などの登場により、Webは情報を得るだけではなく、メールソフトやオフィスソフトなどに代わるプラットフォームとしても重要になってきています。また、Web上で写真を公開できる「Picasaウェブアルバム」など、家族や友人とのコミュニケーションツールとしても欠かせません。
さらに、これらの活用は小型モバイルPCのディスク容量の節約や、複数のPC での情報共有という点でも効果があります。
●動画コンテンツを楽しむ
最近では、インターネットの動画コンテンツをPC で楽しむことが普通になってきました。「YouTube」や「ニコニコ動画」をはじめとした人気の動画共有サイトは、動画の新しい楽しみ方として注目を集めています。小型モバイルPC を使えば、いつでもどこでもこれらの動画コンテンツを楽しむことが可能です。
写真ビューアーや音楽プレーヤーにもなる
●デジカメ写真の大画面ビューアーとして持ち歩く
小型モバイルPCの液晶ディスプレイは7〜10インチと広く、デジカメよりも写真を大きく見られます。旅行先などにデジカメと一緒に持って行けば、撮影した写真を家族や友人と快適に楽しめます。
また、無料の写真管理ソフト「Picasa」を利用すれば、撮影した写真をすぐに整理し、トリミングや補正などの加工も行えます。その場からだれかにメールしたり、Web上のアルバムにアップロードしたりすることも可能です。
●携帯音楽プレーヤーとして活用する
音楽ファンはいつでも音楽と親しんでいたいものです。iPodのような携帯音楽プレーヤーも普及していますが、iPodを持っていなくても、小型モバイルPC にiTunesなどの音楽ライブラリ管理ソフトをインストールしておけば、iPodの代わりとして音楽を楽しめます。
また、多くの小型モバイルPCはステレオスピーカーを備えているため、ポータブルコンポとしても活用できます。ヘッドフォンや外付けスピーカーを必要とせずに音楽ライブラリを持ち歩けるのは、iPodなどにはないメリットです。
しかし、小型モバイルPCには、基本的にCD/DVDドライブが搭載されていません。そのため、CDなどから音楽データを取り込むには外付けドライブを接続するか、別のPCで取り込んだデータを転送する必要があります。
●PCゲームをどこでも楽しむ
ゲームもPCを使ってできる楽しみのひとつです。デスクトップPCで楽しむのとは違って、小型モバイルPCならばいつでもどこでも好きな場所と時間に楽しめます。
ただ、詳しくは後述しますが、主にCPU性能の面でプレイに適さないゲームもあります。また、起動にCD/DVDを必要とするゲームもあるので、光学ドライブを持たない機種では注意が必要です。
周辺機器でさらに用途が広がる
●ワンセグチューナーでテレビ放送を楽しむ
一部の小型モバイルPCには、ワンセグチューナーが内蔵されています。チューナーが搭載されていない機種でも、USBタイプの外付けチューナーを利用してテレビ放送を楽しむことが可能です。ワンセグ放送は携帯電話での視聴をあらかじめ想定しているものなので、小型モバイルPCでも十分に視聴できます。ワンセグチューナーについてはQ54でも紹介しています。
また、DVDドライブのない機種でも外付けのドライブを接続すれば、小型モバイルPCのほとんどの機種でDVDの再生が可能になっています。
●外部インターフェースを活用する
さらに、小型モバイルPCはUSBポートや有線LAN、ディスプレイポートなどの外部インターフェース、Bluetoothなどの通信機能などにより、さまざまな周辺機器を接続した機能の拡張が可能です。SDカードスロットをはじめ、さまざまなメモリカードに対応したスロットを搭載している機種も多くなっています。
なお、デスクトップPCほどの拡張は望めませんが、メモリの増設や内蔵ディスクの換装が可能な機種もあります。
0.工人舎「SX3KP06MA」
ワンセグチューナーに加え、2層対応のDVDスーパーマルチドライブを搭載。実勢価格110,000円前後(Microsoft Office非搭載モデル)
http://jp.kohjinsha.com/models/sx/
主に割り切るのはCPUとグラフィックスの性能
以上のように、小型モバイルPCが活躍するシーンは、その機動性を生かした使い方が中心になってきます。では逆に、デスクトップPCなどに劣るのはどのような点なのかも考えてみましょう。
最大のポイントは、CPUやグラフィックスなどの性能です。例えば、ハイビジョンのテレビ放送の視聴やBlu-ray Discのビデオ再生、激しく画面が変化する3Dアクションゲームなどは、小型モバイルPCがもっとも苦手とする分野です。これらには高性能なCPUや高価な回路の搭載が必要となるため、低価格化が難しくなります。
さらに、高性能なCPUは電力消費量が多いため、携帯するには大きなバッテリーや冷却装置が必要となり、結果としてPC自体のサイズも大きくなります。小型モバイルPCの機動性が、こうした割り切りから実現できていることは理解しておく必要があります。
ただ、割り切ってもらっては困るところが割り切られてしまっていては、購入後に不満が残ってしまいます。例えば、PC本体のデザイン、キーボードやタッチパッドの使いやすさ、液晶ディスプレイのサイズなどです。機種選びについてはQ5で解説しますが、それらの点については自分が想定している用途に合わせて、妥協のない機種選びをするとよいでしょう。
[ヒント]小さな欠点は「カスタマイズ」で解決しよう
小型モバイルPCは、そもそも最先端・最高性能のPCではありません。限られたスペックから最高のパフォーマンスを引き出すには、使う側の工夫も必要になってきます。その工夫が「小型モバイルPC カスタマイズ編」(10月中旬公開予定)で紹介するカスタマイズで、OSの設定変更や周辺機器の活用をはじめとしたさまざまな方法があります。多少の欠点なら工夫次第で解決でき、そのような工夫を楽しむのもPCの楽しみ方のひとつです。