指数平滑法による予測
FORECAST.ETS 指数平滑法を利用して将来の値を予測する
対応バージョン:
指定された[値]と[タイムライン]を元に[目標期日]の値を予測します。季節によって変動がある場合は[季節性]の指定、欠測値がある場合には[補間]の指定ができます。元のデータに同じ期の値が複数ある場合には[集計]の指定もできます。予測にはETS(三重指数平滑法) アルゴリズムのAAAバージョンと呼ばれる方法が使われます。
入力方法と引数
FORECAST.ETS
目標期日 | 予測値を求める期を指定します。 | |
---|---|---|
値 | タイムラインに対応する値(予測に使う元の値)を指定します。 | |
タイムライン | 年度や日付など、[値]が得られた期を指定します。 | |
季節性 | 季節性の変動がある場合に、周期を指定します。1を指定するか省略すると季節性は自動的に計算されます。0を指定すると季節性がないものと見なされます。8760までの値が指定できます。 | |
補間 | 欠測値がある場合に1を指定すれば自動的に補間されます。0を指定すると欠測値を0とします。省略すると1が指定されたものと見なされます。全体の30%までは欠測値の補間が行われます。 | |
集計 | タイムラインに同じ期がある場合、[値]を集計します。以下の方法が指定でき、( )内に記述した関数と同じ方法で集計を行います。省略した場合は集計を行いません。 | |
1 | 平均(AVERAGE) | |
2 | 数値の個数(COUNT) | |
3 | データの個数(COUNTA) | |
4 | 最大値(MAX) | |
5 | 中央値(MEDIAN) | |
6 | 最小値(MIN) | |
7 | 合計(SUM) |
使用例1四半期ごとの売上高を元に2019年第1四半期の売上高を予測する
使用例2四半期ごとの売上高を元に2019年第1四半期〜第4四半期の売上高を予測する
{=FORECAST.ETS
(B15:B18,E3:E14,B3:B14)}
上記はセルE15〜E18に配列数式として入力されている数式です。FORECAST.ETS関数を配列数式として入力すれば、複数の[目標期日]の予測ができます。ここでは、2016年から2018年までの四半期ごとの売上高を元に、2019年第1四半期〜第4四半期の売上高を予測しています。
配列数式として上記の関数を入力するには、セルE15〜E18を選択して「=FORECAST.ETS(B15:B18,E3:E14,B3:B14)」と入力したあと、入力の終了時に[Enter]キーではなく[Ctrl]+[Shift]+[Enter]キーを押します。配列数式の{ }は自動的に表示されるので、入力する必要はありません。[目標期日]としてセルB15〜B18が指定されていることに注意してください。
使用例3欠測値のあるデータを元に売上高を予測する
使用例4売上高を年ごとに集計して次の年の売上高を予測する
活用のポイント
- 三重指数平滑法とは、過去のいくつかの値の平均から次の値を予測する方法です。このとき、最近の値のほうに指数関数的に大きなウェイトを与え、古い値の影響を少なくします。FORECAST.ETS関数では、さらに季節による変動も含めて値を予測します。
- [目標期日]が[タイムライン]に指定された期よりも前の場合、[#NUM!]エラーとなります。
- [タイムライン]には日付や「期」を表す値を指定します。[値]と[タイムライン]のサイズが異なる場合、[#N/A]エラーとなります。
- [タイムライン]は並べ替えられている必要はありません。
季節性の変動を自動的に計算するには、[季節性]に1を指定するか省略します。ここでの例では、各年度の第3四半期(3期、7期、11期)の売上高が他の期よりも少なめです。使用例1でセルF3に15と入力すると、1027.99という結果になります。一方、セルF5に
=
FORECAST.ETS
(F3,D3:D14,A3:A14,0)と入力して季節性を計算しないようにすると、結果は1032.60となります。なお、この例の周期は実際には4なので、[季節性]に4を指定しても、[季節性]を省略した場合と同じ結果になります。
- [季節性]に8760を超える値を指定すると[#NUM!]エラーとなります。
欠測値がある場合には[補間]に1を指定するか省略します。[補間]に0を指定すると、欠測値が0と見なされます。使用例3では6期(2017年第2四半期)の欠測値が自動的に補間され、13期の売上高は1042.11と予測されます。一方、セルF5に
=
FORECAST.ETS
(F3,D3:D13,A3:A13,,0)と入力して欠測値を0と見なすと、13期の売上高は1064.75となります。6期の売上高が0であるにもかかわらず予測値が大きくなるのは、急激に売上高が伸びたと見なされるためです。なお、この例では、データが収集されていないことが、売上高が0であったこととは考えられないので、欠測値を0とするのは適切ではありません。
- 同じ期のデータが複数ある場合は、[集計]に集計方法が指定できます。使用例4のように[タイムライン]にセルB3〜B14を指定すると、「年」が[タイムライン]になるので、2016、2017、2018という値が4つずつあります。[集計]に7を指定すると年ごとに売上高が合計され、予測値が得られます。