こんにちは。できる編集部の井上薫です。先週の「休息できてる? 仕事の疲れが取れない人は『4つのR』をチェック!」は多くの反響があり、とても嬉しかったです。皆さん、本当に疲れているんですね(涙)。一緒にメンタル余裕を目指しましょう!

今回は、おなじみ住職で精神科医で、書籍「『あるある』で学ぶ 余裕がないときの心の整え方(できるビジネス)」の著者でもある川野泰周さんに、一瞬で自分を癒やせる方法はないか教えてもらいました。

香りで「ありのままの心」を取り戻す!

――川野さん! 先週の記事、すごく沢山の人に読んでいただけました。嬉しい反面、皆さんちゃんと休息できていなのかなと心配にもなってしまって...。
そこで、誰でも・簡単に・即効で疲れを取る方法とかありますか?

川野 嗅覚の力を借りるといいでしょう。とくにアロマが効果的です。

――いい香りを嗅ぐことで疲れが取れるのは、なんとなく分かりますが、なぜなのでしょうか?

川野 雨上がりの匂いや、旅先で感じた香りから、ふと懐かしい気持ちになったりしませんか? この現象は嗅覚が記憶と深くリンクしているからです。

嗅覚神経は脳の古いエリアである「旧皮質」という部分に中枢があり、人類の進化の始まりから発達した場所とされています。
しかし、進化の過程で旧皮質は退化が進んでいます。

――なんで退化が進んだのですか?

川野 大脳には、大きく分けて覚える・考えるを担う「新皮質」と、人間の欲求(睡眠欲・食欲・性欲)を司る「旧皮質」があります。 情報過多の現代は、旧皮質より新皮質を活性化しやすいということでしょう。

――ということは、匂いを嗅ぐことで「旧皮質」が活性化するんですね。

川野 そのとおりです。嗅覚と研ぎ澄ますことで、人間はよりナチュラルで、ありのままの心を取り戻すことが可能です。

疲れが溜まっているときこそ、香りの力を頼って下さい。1秒でもいいので、集中してアロマを嗅いでみてください。一瞬でリラックスできます。

効能別にアロマを使い分けよう

――それなら誰でもできますね! 色んな香りがあると思うのですが、どの香りがおすすめですか?

川野 香りによって効能が違いますので紹介しましょう。

効能代表的な香り
リラックス効果サンダルウッド、ヒノキ、ジャスミン、イランイラン、ラベンダー
やる気を高めるティートリー、レモングラス、シナモン、ジンジャー、ローズマリー
リフレッシュ効果オレンジスイート、ベルガモット、グレープフルーツ、レモン、ペパーミント
安眠効果カモミール・ローマン、クラリセージ、ネロリ、マジョラム、ラベンダー

――たくさん種類があるんですね! 川野さんのクリニックではアロマを炊いているのですか? そして何というアロマでしょうか。

川野 クリニックで使っているのは「ナリン」(nahrin)というメーカーの、7種類のハーブが入った「ハーブオイル33+7」というアロマオイルです。不特定多数の方がいらっしゃるので、あまり好き嫌いのないものを選んでいます。この香りが苦手な人は少ないと思いますよ。しかも少量を直接肌に塗ることもできる安全なオイルなので、とても使いやすいんです(ただし、顔や皮膚の薄い箇所には塗らないで下さい)。

頭痛持ちの井上さんの場合、こめかみに塗ると、すぅーと楽になります。自分が一番好きな香りを見つけるのが一番よいです。

――いろいろ試したくなりました。仕事の疲れが取れない人ほど、アロマの力に頼るのもいいですね。ありがとうございます。


次回予告
心が落ち着く!「歩く瞑想」をしてみよう br>

川野泰周(かわのたいしゅう)さん
精神科・心療内科医/臨済宗建長寺派林香寺住職。

1980年横浜生まれ。2004年慶応義塾大学医学部医学科卒業後、精神科医として診療に従事。2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行、2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。現在寺務の傍ら都内及び横浜市内にあるクリニック等で、うつ病、神経症、PTSD、睡眠障害などに対し薬物療法と並び禅やマインドフルネスの実践を含む心理療法を積極的に取り入れた診療にあたっている。
著書「『あるある』で学ぶ 余裕がないときの心の整え方(できるビジネス)」。