CHAPTER 3-4
モバイル/コミュニケーション/アラート

時間、場所、デバイスを超えてデータに基づくアクションを促進する

モバイル時代に誕生したDomoは、スマートフォンにも最適化されている。いつでもコミュニケーションと通知が受けられる環境は、組織全体のパフォーマンスをさらに引き上げてくれるだろう。

最強のデータ経営:時間、場所、デバイスを超えてデータに基づくアクションを促進する

画像素材:123RF

本コンテンツは、インプレスの書籍『最強のデータ経営 個人と組織の力を引き出す究極のイノベーション「Domo」』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「はじめに」「おわりに」は以下のリンクからご覧ください。
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クラウドに集約されたデータはリモートワークにも効果的

ここまで、Domo導入の初期プロジェクトで想定される流れに沿って、データの接続・準備と可視化の機能面を掘り下げてきた。本節ではプロジェクトを円滑に進め、かつ組織への浸透やアクションを促進するものとして、Domoの「モバイルアプリ」「Buzz」「アラート」に注目しよう。

クラウドサービスとして提供されるDomoは、ネットにさえ接続されていれば時間や場所を問わずに利用できる。出張先のノートPCからでも、VPN ※1などの設定をすることなくアクセス可能だ。iOS/Androidに対応したモバイルアプリもあり、ビジネスにおける状況の変化をすばやく察知して必要なアクションを起こせる。

Domoのこうした特徴は、業務効率の向上につながるだけでなく、働き方改革の実現、あるいはワークライフバランスの改善を掲げる企業にとっても魅力的だろう。最近では多くの企業でリモートワークの導入が検討されているが、Domoはオフィスにいなくても業務に必要なすべてのデータを参照でき、ほかのメンバーとのコミュニケーションも行える環境を与えてくれる。

※1 「Virtual Private Network」の略。仮想的な専用のネットワークを構築する技術。企業では主に社外から社内のネットワークに安全にアクセスする用途で利用する。

最新のデータを俯瞰できるモバイルのホーム画面

Domoのモバイルアプリを利用する上で、特別な準備は必要ない。iOSやAndroidのアプリストアで「Domo」を検索し、自分の端末にインストールすればすぐに使える。

アプリを起動してログインすると、[新しいカード]や[最近シェア]、[最も閲覧されているカード]といった項目が並ぶホーム画面が表示される。このホーム画面は自由にカスタマイズできるので、常に見ておきたいページ(ダッシュボード)を追加し、目立つ場所に配置しておくとよい。

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モバイルアプリのホーム画面。ホーム画面の[編集]を選択すると、ホーム画面の項目を移動・削除できる。

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ホーム画面の末尾にある[+]を選択すると、ダッシュボードなどのページを追加できる。

グラフの表現力はモバイルアプリでも高い

モバイルアプリでカードを表示すると、グラフやチャートとして可視化されたデータを確認できる。具体的な数値を見たいときは、グラフ内の棒や折れ線を選択すればよい。設定済みであれば、詳細なカードにドリルダウンすることも可能だ。

グラフを全体表示した画面では、[グラフタイプ]からグラフの種類を変更したり、[フィルター]で気になるデータだけに絞り込んだりできる。操作感は非常に軽快で、PCの機能限定版といった印象はない。

PCと同様の[注釈をつける]機能もあり、タッチ操作で手書きできる点はスマートフォンならではのメリットだ。また、全体表示から[表]に切り替えると、グラフの基となったデータを表形式で参照できる。

こうしたモバイルアプリの機能は、外出の多い営業部門のメンバーには特に重宝するだろう。取引先に向かう電車内で最新のデータを把握した上で、顧客との商談に臨むことができる。

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モバイルアプリで全体表示したカード。グラフ内の要素をタップすると数値が表示される。

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表示された数値をタップすると表形式のデータを参照できる。

カードを見ながら会話できる「Buzz」

Domoのコミュニケーション機能である「Buzz」は、カードのデータについての議論が必要なときに役立つ。PCの場合、カードの画面にある[チャットを開く]からBuzzのウィンドウを表示する。

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Buzzでのコミュニケーション。カードを全体表示して[チャットを開始]を選択すると、右側にBuzzのウィンドウが表示される。

データに基づくアクションについて提案・検討するときに、メールは有効な手段とは言えないだろう。リアルタイムでの議論が難しいばかりか、データを見る場所とコミュニケーションをする場所が分散してしまい、過去のやりとりを参照しにくくなる。

Buzzであればデータが集約されたDomoから離れることなく、カードを共有する関係者全員でデータを見ながら会話できる。重要な指標に関する新しい会話の発生を、スマートフォンの通知やメールなどで知らせることも可能だ。データから得られたインサイトをすばやく共有するとともに、質問と回答、合意形成などがスムーズに行え、組織全体のパフォーマンス向上にもつながるだろう。

読み解きに時間をかけず核心から議論できる

実際にBuzzを使っていてメリットを感じるのは、やはり可視化されたデータを見ながらコミュニケーションできる点にある。例えば、特定のサービスの契約数が伸び悩んでいる場合、その原因と思われる事象は何か、有効と考えられる打ち手は何かといった核心の議論を、データの参照先や読み解きの説明を抜きに、いきなり始められる。

議論を進める上で、カードを共有していない他部門のメンバーからの意見を聞きたい場合でも、相手がDomoのユーザーであればBuzzから招待して会話に加わってもらえる ※2。Domoの全社的な導入を検討するときには、こうした部門を超えたコラボレーションを促進する効果があることも考慮しておきたい。

※2 Buzzに招待できるのはDomoのユーザーとなるが、Buzzの機能は無料のソーシャルユーザーでも利用できる。

データの変化をアラートで迅速に察知

Domoのアラートは、データが特定の条件を満たしたタイミングで、スマートフォンの通知やメールによって何が起こっているのかを知らせてくれる。アクションを促す上で重要な機能だ。

現在設定されているアラートは、PCの場合は以下の[アラート管理]画面で確認できる。アラートの送信方法にはメール、モバイルアプリ、テキストメッセージ ※3の3種類がある。送信タイミングは即時のほか、日次や週次でまとめることも可能だ。ほかの人が作成したアラートを自分でも使えるようにサブスクライブ(登録)することもできる。

※3 携帯電話・スマートフォンのSMS(ショートメッセージサービス)として送信される。

アラートの条件や通知する内容は、カードの画面からアラートを作成することで設定する。[ルール]で条件、[メッセージ]で通知する内容、[シェア]で送信するメンバーを指定する形だ。

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[アラート管理]画面では、作成済みのアラートやアラートが送信された履歴を確認できる。

アラートの条件にはさまざまなものがあるが、例えばECサイトにおける週次の売上額が100万円を下回った、顧客からの問い合わせ数が1日あたり10件を超えたなど、重要な指標に対して閾値を設定し、異常と思われる変化をすばやく発見できるようにするのが基本的な考え方だ。とるべきアクションが決まっているなら、その内容をアラートの通知に明記しておくと、受け取った担当者に対してスピーディーな行動を促せるだろう。

アラートの用途としては、迅速なアクションにつなげること以外にも、見るべきカードを絞り込むことも挙げられる。毎日見る必要のないカードは、特に重要な変化があったときだけアラートで通知するのが適切だ。

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1カードを全体表示して[アラートを表示]を選択し、[新規アラート]を選択する。

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2アラートの[ルール]を設定する。対象とする指標や条件、閾値を入力する形だ。

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3[メッセージ]で通知の内容を設定する。最後に[シェア]で送信先を設定するとアラートが作成される。

PowerPoint形式でのエクスポートもできる

実際の会議やミーティングでDomoのカードを見ながら議論したいときは、出席者が各自のPCからDomoにアクセスするか、代表者がプロジェクターなどに映し出すのが望ましい。注目したいデータをフィルターで絞り込んだり、ドリルダウンで基のデータを参照したりできるからだ。

ただ、Domoをまだ導入していない他部門や、社外の関係者とのミーティングでは、どうしてもDomoを使えないときもあるだろう。その場合はカードをPowerPoint形式でエクスポートすれば、カードが画像としてスライドに貼り付けられた状態で保存される。使い慣れたPowerPointで資料を仕上げることができ、共有や印刷にも困ることはないだろう。

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PowerPoint形式でのエクスポート

また、ページ内に含まれるカードを、ブラウザー上で自動的にページ送りする「スライドショー」として公開する機能もある。これを関係者にレポートとして送ったり、社内のプロジェクターに投影したりすることも可能だ。筆者のオフィスでは、天吊りの大型ディスプレイに常時表示している。

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大型ディスプレイでのスライドショー

さらに「エンベッド」と呼ばれる機能を利用すれば、カードの内容を社内のイントラネットの記事に埋め込んだり、外部向けのWebサイトで公開したりできる。Domoで可視化したデータを幅広いユーザーと共有したい場面で使える。

Domoの全機能を紹介するにはとても紙面が足らないが、ここまでの説明を通して、実際に使うイメージができてきたと思う。しかし、機能の豊富なツールが必ずしも使われるとは限らない。

CHAPTER 4-1以降ではDomoの機能面から離れて、部門や全社への定着化に向けた取り組みについて見ていく。

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