本コンテンツでは、無料で使えるBIツール「Googleデータポータル」(旧:Googleデータスタジオ)の使い方を連載形式で解説していきます。隔週ペースで更新予定。
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データソースが編集不可でも計算指標を作成できる

前回は「計算フィールドと関数の使い方(基本編)」として、接続しているデータソースの中に、四則演算や関数で求める新しいフィールド(指標)を追加する方法を紹介しました。計算に基づく指標の作成方法として、ごく一般的だと思います。

連載の第10回となる今回は、筆者が「埋め込み計算式」と呼んでいる、別の方法でのフィールドの追加について解説します。この埋め込み計算式、筆者は以下のような用途で使っています。

  • データソースを編集できない状況で計算に基づく指標を作成する
  • 複数のデータソースの指標を使って計算に基づく指標を作成する

埋め込み計算式は筆者が便宜上そう呼んでいるものなので、Google公式ヘルプなどには記載がありません。といっても、難しいことをするわけではなく、実装方法としては通常の計算フィールドとほぼ同じです。ぜひ気軽に試してみてください。

埋め込み計算式で新しい指標を作成する

以下の画面は、前回にも登場した「客単価」と「達成率」の相関関係を表したグラフです。この2つの指標は埋め込み計算式によって実現しています。計算結果は前回、つまり通常の計算フィールドの場合と同じです。実際のダッシュボードへのリンクも記載しています。

【Googleデータポータル】データソースと紐付かない新しい指標を埋め込み計算式として実装する

10.【Googleデータポータル】 埋め込み計算式サンプル

では、さっそく実装方法を見ていきましょう。埋め込み計算式はデータソースの画面ではなく、グラフに直接フィールドを追加する形になります。

1指標を追加する

【Googleデータポータル】データソースと紐付かない新しい指標を埋め込み計算式として実装する

あらかじめ配置しておいたグラフを選択し、パネルの[データ]タブにある[指標を追加]をクリックします。

2新しいフィールドを作成する

【Googleデータポータル】データソースと紐付かない新しい指標を埋め込み計算式として実装する

グラフに追加できる指標の一覧が表示されますが、今回は指標を追加するのが目的です。[フィールドを作成]をクリックしましょう。

【Googleデータポータル】データソースと紐付かない新しい指標を埋め込み計算式として実装する

[新規フィールド]画面が表示されました。ここで新しい指標を定義していきます。

3フィールドの名前と計算式を入力する

【Googleデータポータル】データソースと紐付かない新しい指標を埋め込み計算式として実装する

ここではフィールドの名前を「m_客単価」としました。筆者は埋め込み計算式の指標には、「m_」(method)を付けて区別できるようにしています。続いて、計算式に「売上金額 / 来店客数」と入力し、緑のチェックマークが表示されたことを確認します。最後に[適用]をクリックしてフィールドを保存します。

4フィールドが作成され、指標が追加された

【Googleデータポータル】データソースと紐付かない新しい指標を埋め込み計算式として実装する

埋め込み計算式として作成したフィールドが指標として追加され、グラフを表現できました。

以上が埋め込み計算式による指標の追加方法です。フィールド作成時の計算式では、通常の計算フィールドと同様に正しい計算であるかどうかのチェックが行われます。

通常の計算フィールドと埋め込み計算式の違いは?

一見、埋め込み計算式と通常の計算フィールドには、違いがないように思えるかもしれません。

しかし、データソースの中に作成・保存する計算フィールドに対し、埋め込み計算式はデータソースの中には保存されない、という点が異なっています。よって、前述の手順で追加した指標は、データソースの指標一覧の追加項目としては保存されません。

【Googleデータポータル】データソースと紐付かない新しい指標を埋め込み計算式として実装する

埋め込み計算式はデータソースと紐付かないため、データソースの指標一覧には表示されません。

また、埋め込み計算式はあくまで「指定されたグラフ上で限定的に実行されるプログラム」として扱われるので、計算フィールドのように、複数のグラフで再利用することはできません。

図で表すと、以下のようなイメージになります。

【Googleデータポータル】データソースと紐付かない新しい指標を埋め込み計算式として実装する

プログラミング用語でいうと、計算フィールドと埋め込み計算式はスコープが異なる、と表現できます。スコープとは「有効範囲」のことで、データソースに組み込まれた計算フィールドと、グラフ内に組み込まれた計算フィールドでは、その有効範囲に差があるというわけです。

この説明だけを聞くと「計算フィールドのほうが使い勝手がいいじゃないか」と思うでしょう。実際、そうしたケースは多いのですが、計算フィールドではできないことが、埋め込み計算式ではできたりします。次回は「複数のデータソースを統合する」という視点から、埋め込み計算式を使い方を掘り下げていきます。