Part2 Section 11 オンライン会議実践

コープさっぽろで実践中の長谷川流「会議革命」

オンライン会議室中心に会議を常時進行する

パート1で、会議を「オンラインで働く」やり方に変える方法を紹介したが(P.16参照)、ここではより具体的に、筆者らがコープさっぽろの情報システム部で実施している会議の方法を紹介したい。

会議の全体的な方針を下図のように4原則としてまとめた。まず1点目は「オンライン会議室(Slack)メインで進める」。決まった定例会議の時間だけでなく、非同期的に会議を進行させる。会議は週次で行っているが、タイムスケジュールは次ページの上の図のようになるイメージだ。2点目は「資料類はすべてGoogleドキュメントで作成する」。オンラインで会議を行うためには当然だ。

3点目は「インデックスドキュメントに議案や議決事項をまとめる」。「インデックスドキュメント」は筆者の造語で、会議の運営方針やルール、毎回の会議の議案と議決事項など、重要事項をまとめ、関連資料にリンクを張ったドキュメントのことだ。会議については、このドキュメントとSlackのログを見ればすべてがわかるようにする。SlackとGoogleドキュメントによる会議環境は、下図のようになる。

4点目は「会議中に議事録を完成させる」。集中して議論し、決定事項を確認する場として、会議は1回30分の時間を取っている。この時間のうちに、議案のドキュメントに決定事項を書き込み、インデックスドキュメントにもまとめて、全員で確認したら会議は終了だ。

会議の4原則

オンライン会議室をメインにした会議運営

インデックスドキュメントとルールを整備する

会議の運営責任者は、事務局としてインデックスドキュメントと、ルールなどの基本的なドキュメントを整備する。

インデックスドキュメントは、はじめに会議の簡単な説明と必要なドキュメントへのリンクをまとめる。以降は週ごとの議題と議決事項をまとめ、新しい順になるよう追加していく。1回の会議ごとにドキュメントを分けると、過去に議論した内容を探すときに手間がかかる。すべてを1本にまとめていれば、過去の議案を参照することも容易だ。

そのほかに整備するドキュメントは2つ。1つ目は会議の方針やルールだ。会議の目的、参加メンバー、議案上程(提出)と審議のルールなどをまとめ、インデックスドキュメントからリンクする。2つ目は、議案のフォーマットだ。タイトル、担当者、概要など必要な項目を挙げておき、コピーして項目を埋めたら議案として上程できるようにする。

以上ができたら、Slackの会議用のチャンネルのトピック(P.146参照)に、インデックスドキュメントへのリンクを掲載する。これで、いつでも容易にインデックスドキュメントや関連資料を参照できるようになる。

SlackとGoogleドキュメントによる会議環境

インデックスドキュメントの例

上部に基本情報を記入し、以降、新しい順になるよう議案と議決事項を書き加えていく。年度ごとに新しくする想定だ。

運営方針をまとめたドキュメントの例

目的、メンバー、議案上程の方法が最低限必要な情報。オンラインでの会議に不慣れなメンバーがいるなら、進め方の説明も加えておくといい。

議案上程はいつでもOK議論はすぐにスタート

議案を上程する担当者は、フォーマットをコピーして上司や関係者と共有しながら議案書を作成していく(P.18参照)。付属する資料には数値データならスプレッドシートを使うなど適切なメディアを選択し、議案書のドキュメントからリンクを張る。

Slackで議案書のURLを付けて議案を上程したら、関係者は時間を見つけて議案書に目を通し、疑問点などをコメントしていく。担当者はコメントに対応し、返信したり、必要があれば資料を随時更新したりしていく。一度全員と共有しても、不備や情報の更新があれば、いつでも手を入れていこう。ただし、重要な変更点は赤字で書き込んだりコメントを付けたりして、わかりやすくしたほうがいい。

議案書の例

上部の必要事項を記入して上程し、適宜コメントを受け付け、更新し、会議の終了時には末尾に議事録を加える。事務局は、このひな型となるドキュメントをフォーマットとして用意しておく。

会議は30分でスピーディに。議事録作成も並行する

週次の会議は、30分と決めている。コーポさっぽろでは、組合のメンバーが会議室に集まり、筆者は東京からビデオ会議で参加、というパターンが多い。各自がインデックスドキュメントを開いておき、本日の議案を確認しておく。全員が集まったら開始だ。

議案には全員が目を通している前提で、すべてを説明はしない。質問に対する口頭での補足事項の説明などを行い、続けて口頭での質疑に移る。議案の承認可否、直近でのToDoを確認して議論を終えるが、この間に上程した担当者は、議案の末尾に質疑応答の内容や議決事項を書き加え、議事録とする。事務局または書記は、インデックスドキュメントに議案ごとの議決事項を書き込んでいく。

すべての議案について議論・議決を終えたら、議事録も完成しているようにする。関係者全員は議事録を確認したうえで会議を終えよう。

超並列で「ヌルヌル」と会議を進めよう

以上が、会議進行の基本だ。重要なのは、常に「超並列」で進めること(P.28参照)。筆者はこのようなときに「ヌルヌルと進める」という擬音を使うのだが、一気にやろうとはせず、しかし止まらず、常に少しずつ進行している状態を意識しよう。

また、重要な情報はインデックスドキュメントにまとめ、議案書や資料にはリンクを張り、リンクで管理する。できるだけドキュメントは少なくし、資料をフォルダーではなくリンクでまとめていくのが、筆者流のやり方だ。