用途を限定することでコストを圧縮
ASUSTeKの「Eee PC」シリーズをはじめ、小型モバイルPCは従来のノートPCでは考えられないような低価格で販売されています。下図は10インチクラス以下のディスプレイを搭載した主なPCを、実勢価格(縦軸)と発売時期(横軸)で配置したものですが、20万円以上が主戦場だったこの製品群の価格が、一気に5?6万円を中心にした市場へと変わりつつあります。
では、なぜこのような低価格化が起こっているのでしょうか?
全体的な観点から言えば、「用途を限定することにより、CPU性能やディスク容量などをコスト面で“上手に”妥協している」からです。モバイル用途では、最先端・最高性能のCPUや大容量のハードディスクは必須ではありません。モバイルにおける用途をよく考えて、コスト面で削れるところを徹底的に削ることで、コストダウンが図られているわけです。
●小型モバイルPCの価格と発売時期
「2台目PC需要」で市場の成長が進む
スペックの観点から解説すると、小型モバイルPCでは最先端・最高性能のCPUではなく、少し前のCPUを採用している場合もしばしばです。また、OSに最新のWindows Vistaではなく、一世代前のWindows XPを採用する機種も多くなっています。最新の高価な部品やOSではなく、普及がピークを過ぎて安くなり始めたものが積極的に採用されていると言えます。
さらに、iPodなどの普及で安くなった1.8型ハードディスクや、カーナビに使われる7インチクラスの液晶ディスプレイ、オープンソースで安価なOS(Linux)を採用した機種もあります。
PCの普及率や完成度が高まったことにより、ユーザーのニーズは多様化してきました。低価格でコストパフォーマンスがよいPCに対するニーズのほか、デスクトップPCを持っている人が外出先でもPCを利用したい場合など、2台目PCの需要も増えています。
買いやすい価格の小型モバイルPCが登場したことは、2台目需要をさらに大きくする可能性があります。生産台数が増えれば、メーカーはさらにコストダウンが可能です。小型モバイルPCの価格は、ユーザーが望む低価格化にメーカーが応えた結果とも言えるでしょう。