【エクセル時短】は「少しでも早く仕事を終わらせたい!」というビジネスパーソンのみなさんに、Excelの作業効率をアップするワザをお届けする連載です。毎週木曜日更新。
過去の記事一覧はこちら【エクセル時短まとめ】

Excelで数式を入力すると、その結果が「#DIV/0!」「#N/A」「#NAME?」などと表示されることがありますよね。

これらは、入力した数式の結果や値に問題があるときに表示される「エラー値」です。例えば、値を「0」や空白で割ってしまったり、処理対象のデータがなかったりしたときに、エラー値が表示されます。

エクセル時短:「参照元のトレース」でエラーの原因を見つける

エラー値「#DIV/0!」が表示されたところ。消さないと、何となく気持ちが悪いです......

こうしたエラー値はよく見かけますし、たいていは、すぐに解決できるものです。しかし、上手い方法を知らないと、その原因を探して時間をムダにしてしまうことも。【エクセル時短】第31回では、時間をかけずにエラーの原因を探す方法を紹介しましょう!

数式の参照元をトレースして原因を見つける

エラーの原因を探すときにおすすめなのが、「参照元のトレース」というExcelの機能です。あまり知られていませんが、この機能を使うと、数式が参照しているセルを視覚的にわかりやすくできます。

実際にやってみましょう。以下の例では、予算の達成率を求める数式「=I3/A9」のうち、セルA9が空白になっていることがエラーの原因となっています。これを「参照元のトレース」でわかりやすくします。

1数式の参照元のセルを探す

エクセル時短:「参照元のトレース」でエラーの原因を見つける

①エラー値が表示されているセルを選択し、②[数式]タブの③[参照元のトレース]ボタンをクリックします。

2数式の参照元から青い矢印が表示された

エクセル時短:「参照元のトレース」でエラーの原因を見つける

数式が入力されているセルB9から、参照元であるセルI3とセルA9に対して青い矢印が表示されました。これらのセルが、数式に関係していることが一目瞭然です。

3数式の過程を表示する

エクセル時短:「参照元のトレース」でエラーの原因を見つける

さらに、この数式の計算の過程を表示してみましょう。①エラーオプションをクリックし、②[計算の過程を表示]をクリックします。

4エラーの原因を確認する

エクセル時短:「参照元のトレース」でエラーの原因を見つける

[数式の検証]ダイアログボックスが表示されました。[検証]欄に「=629580/0」と表示されており、「0」で除算していることがエラーの原因であることがわかります。

5エラーを修正する

エクセル時短:「参照元のトレース」でエラーの原因を見つける

エラーの原因である空白のセルA9に値を入力し、「#DIV/0!」が解消されました。青い矢印を消去するには、[数式]タブで[トレース矢印の削除]ボタンをクリックします。

いかがでしたか? 単純な例なのでエラーの原因は自明でしたが、実際には、VLOOKUP関数のように複数の引数を扱う関数式や、複数の関数をネストした数式で、参照元のトレースを便利に使えます。エラーの原因を探すときに、ぜひ活用してください。

HINTエラー値を非表示にするには?

見積書のテンプレートファイルなどでは、数式の参照先となるセルが未入力のことがよくあります。こうした場合にエラー値が表示されないようにするには、「IFERROR」(イフエラー)関数を利用しましょう。

上記の例であれば、「=IFERROR(I3/A9,"")」と入力します。すると、セルA9が空白のままであっても、エラー値は表示されなくなります。

エクセル時短:「参照元のトレース」でエラーの原因を見つける

「=IFERROR(I3/A9,"")」と入力すれば、エラー値を非表示にできます。

関連記事
「#DIV/0!」などExcelエラー値の種類と対処方法

関数を入力したセルに「#DIV/0!」「#N/A」「#REF!」などのエラー値が表示されたら? その種類と対処法を見てみましょう。

関連記事
IFERROR関数/IFNA関数でエラーの場合に返す値を指定する

数式やセル参照がエラーかどうかを調べて指定した値を返す、IFERROR関数とIFNA関数の使い方を解説します。