使い心地は今のまま。月額料金を大幅ダウン!

iPhoneは毎年9~10月に発売されるため(2011年の「iPhone 4S」以降。「iPhone SE」を除く)、秋は2年契約が終了したiPhoneの、契約見直しの季節です。

最新のiPhone 7/7 Plusを買うべきか、買わざるべきか...と考えている人も多いと思いますが、今の機種でも特に問題なく使えているなら「そのまま格安SIMにする」という選択肢もあります。

格安SIM/格安スマホを提供する事業者は「MVNO」と呼ばれ、2000年代前半から存在していました。当時と比べて近年の格安SIMはサービスの質が向上し、大手キャリアと比べても特に「遅い」「つながりにくい」ということもなくなっています。

それでいて料金は安くできるため、今の使い心地を損なわずに、月額料金を抑えることが可能です。

とはいえ「なんとなく格安SIMは不安。よくわからない」という人も多いことでしょう。ここでは、今使っているiPhoneをそのまま格安SIMに移行するメリット、そしてデメリットとその対策を紹介しながら、格安SIM移行の流れを解説します。

月額料金は半額以下、1/3程度にできる場合も

格安SIMのメリットとして第一に挙げられるのは、何といっても「安い」こと。今のiPhoneのSIMを差し替えて使うだけならiPhone本体の価格がいりません。月額料金も、うまくいけば1/3程度に抑えられます。

大手キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク)と格安スマホ事業者(格安SIM)の月額料金の比較例。
「月のデータ通信量5GB、音声通話あり」の典型的な契約で、特別な値引きがない場合、このように格安SIMでは1/3近い料金に抑えることができます。大手キャリア間も、格安スマホ各社の間でも、料金に大きな差はありません。

また、今使っているiPhoneをそのまま使うこともできるので、手間がかからないのもいい点です。メールなどの設定やアプリのインストールなど、新しいiPhoneを買ったときに必要になる作業をする必要がありません。

【そのまま格安SIM移行のメリット まとめ】
  • 買い替えが必要ないため、お金がかからない
  • 月額料金も大幅に抑えられる(およそ7.000円→2.300円程度に)
  • 設定など面倒な作業を最小限にできる

「自分の場合に起こるデメリット」を確認しておく必要あり

一方で、不安の1つはバッテリーです。2年間も使い続けていれば劣化は避けられません。しかし、条件がそろえば無料でバッテリーを交換してもらうことも可能です。HINTも参考に確認しておきましょう。

もう1つの不安は、キャリア提供のサービス、特にキャリアメールが使えなくなることです。少し長めに時間を取って現在キャリアメールで連絡を取り合っている相手に新しいメールアドレスを通知したり、オンラインショップなどの登録メールアドレスを変更したりして、問題なく移行できるようにする必要があります。

そのほかの問題点として、キャリアと機種によっては格安SIMが使えないこともあります。NTTドコモとauの場合はそのままSIMを差し替えるだけでいい格安スマホ(格安SIM)事業者がありますが、ソフトバンクはSIMフリー化の手続きが必要です。しかも、SIMフリー化できるのはiPhone 6s以降の新しい機種に限られます。

ソフトバンクでSIMフリー化もできない場合は、残念ながら今使っているiPhoneに格安SIMを使えません。しかし、SIMフリーのiPhone SEなどを新しく購入して格安SIMを導入する手もあります。

2年契約の途中で、高額な割引や関連サービス(固定回線など)を合わせた割引を受けている場合には、格安SIMに乗り換えてもあまり安くならない場合があります。あらかじめ料金を比較して、格安SIMで本当に得できるか確認しておきましょう。

デメリットを避けるには、自分の場合に何があてはまるかを確認しておくことが大切です。バッテリーは大丈夫か? キャリアメールを使っているか? 格安SIMが利用可能な機種か? 現在の料金はどのようになっているか? あらかじめ確認し、必要な対策を取っておきましょう。

【そのまま格安SIM移行のデメリット まとめ】
  • 2年間使った端末の劣化(特にバッテリー)が心配
  • キャリアメールなどキャリア提供サービスが使えなくなる
  • キャリアと機種によっては格安SIMが使えない場合もある
  • 契約によっては、あまり月額料金が変わらない場合もある

格安SIMの第一歩は「更新期間の確認」から

格安SIMに興味が出てきたら、まずは現在のiPhoneの契約を確認し、2年契約が終了して契約解除料なしで解約できる更新期間を確認しましょう。キャリアショップへ行かなくても、アプリやWebサイトで確認できます。

格安SIM移行には、少し時間がかかることを見込んでおく

格安SIMへの乗り換えは基本的にWebを通じて申し込みを行うため、申し込んでからSIMカードが届くのを待つことになります。またキャリアメールからほかの連絡方法に移行するときの告知なども考えると、2週間程度の時間の余裕を見て、準備や手続きをした方がいいです。

どうしても時間がないときには、格安スマホ事業者の店舗(量販店にあるカウンターなど)で手続きをすることで、即日の契約ができる場合もあります。

なお、キャリアメールは、Googleの2段階認証などの意外と忘れがちなところで使っていることもあるので注意が必要です。現在のGoogleの2段階認証は、メールを使わなくても利用できます。

主要な格安スマホ事業者のサービスを知る

主要な格安スマホ事業者のサービス内容を調べて、どの事業者と契約するかを検討しましょう。NTTドコモとSIMフリーのiPhoneでは、どの事業者も利用できます。auの場合は「mineo」が対応しています。

料金を確認し、今の料金とどの程度の差があるかも確認しておきましょう。

もっと詳しく格安SIMを検討するなら

iPhoneを格安SIM化するメリットから、端末と事業者の選び方、移行のために必要な準備、通信費を抑える方法までを解説した電子書籍「iPhone 格安SIMかんたん乗り換えブック 今の機種のまま月半額!」を発売しました。

この電子書籍は、できるネットの連載「格安スマホ移行ガイド」を加筆、修正したものです。

移行の手順をあらかじめ整理しておこう

大手キャリアでは、ショップに行くとスタッフが契約や移行の手続きを進めてくれますが、格安SIMを利用するため格安スマホ事業者と契約するときには、自分で手続きを進めなければいけません。

そのため、移行のために必要な作業を最初にざっと整理しておくことが大切です。それほど複雑なことはありませんが、MNPを利用して同じ電話番号のまま移行したい場合などには手順が増えるので、戸惑わないで済むようにしておきましょう。

必要な作業や手続きの流れをチェックシートにまとめると、下の図のようになります。PDFファイルのダウンロードも可能なので、実際に移行を検討するときにご利用ください。

格安SIM移行のチェックシート(PDFファイル)

HINT劣化したiPhoneのバッテリーを交換するには

iPhoneが保証期間内またはAppleCare+に加入していて、なおかつバッテリーが本来の80%未満に劣化している場合には、Appleでバッテリーの交換を受けることが可能です。詳しくは、以下のAppleのサポートページを参照してください。

▼Appleのサポートページ
iPhone のバッテリーと電源 - Apple サポート 公式サイト