低速モードならデータ通信量を増やさずに聴ける

格安スマホ(格安SIM)は、自分が1カ月に利用するデータ通信量に合わせて3GB、5GBなどの通信料で契約します。そして、通信量を節約しながら使うことが基本。ラジオ番組を聴く「radiko」や音楽や動画の再生は、通信料が増えるためつい遠慮しがちになります。

radikoなどの音声配信サービスを格安スマホの低速通信モードで利用できれば、データ通信量を気にせず聴けるようになります。

「IIJmio」や「mineo」など一部の格安スマホ事業者は、通信速度が200kbpsと低速になる代わりに、低速通信中のデータ通信量をカウントしないようにできる機能があります。

低速モード中はWebブラウザーや通信を行なう各種アプリの動画が遅くなり、YouTubeなどでの動画の再生も(遅すぎて)できなくなりますが、メールチェックやテキスト主体のSNSの利用などは問題ありません。自分がWebやアプリを使うときには通常の高速通信、移動中などには低速にしておけば通信量を節約しつつ何かあっても通知は見逃さないようにできる、という使い方が一般的です。

ではradikoのような音声配信サービスは、低速モード中にも利用できるでしょうか? 朝夕の移動中などに、データ通信量のカウント外でラジオ番組や音楽を楽しむことができれば、格安スマホの活用の幅が広がります。

結論としては、iPhone 6s PlusとIIJmioの低速モードで確認したところ、「radiko」や「Spotify」は多少の注意点があるものの低速モードでも問題なく聴けました。ここでは、利用の注意点や低速モードの設定方法を解説します。

radikoは選局時に注意が必要

全国の民放ラジオ番組を聴けるアプリ「radiko」は、低速モードでも番組の聴取自体には問題ありません。クリアーな音声を途切れたりすることなく楽しむことができます。

iPhone(App Store)/Android(Google Play)

ただし、放送局の切り替えを行なうときなどには画像など多くのデータを読み込むためか、表示が滞ることがあります。また、低速通信では、起動したときや局を切り替えたときの再生開始が遅くなる場合もあります。

起動や局の切り替えは高速通信中に行い、安定して音声がながれてきたら低速に切り替えれば快適です。これはSpotifyなどほかのアプリでも共通のワザですが、radikoでひんぱんに局を切り替える人は、得に意識しておきましょう。

実際のデータ通信量を計測するため、音声が安定してから30分間のモバイルデータ通信量を計測しました。5回の計測の結果は13.8MB、13.7MB、13.4MB、14.4MB、14.6MB(1~3回目はTBSラジオ、4、5回目はTokyo FM)。目安としては1時間で30MB程度と見ておけばいいでしょう。

Spotifyは立ち上げが低速でも大丈夫

定額制音楽配信サービス「Spotify」(スポティファイ)は、読み込む画像などのデータが比較的少ないためか、低速モードでアプリを起動してもそれほど表示が滞ることはなく操作できます。再生中に音声が途切れることもまずありません。

無料の「Freeプラン」でシャッフル再生だけを行なう場合は操作もシンプルなので、操作していて不満を感じることはありません。低速通信と相性のいい使い方だと言えるでしょう。

iPhone(App Store)/Android(Google Play)

実際のデータ通信量を計測するため、曲の再生が始まってから30分間のモバイルデータ通信量を計測しました。5回の計測の結果は29.8MB、26.7MB、28.4MB、14.5MB、10.0MB。3回目までと4、5回目の通信量に差があります。

実は、1~3回目は低速通信の状態で起動して計測していますが、4、5回目はWi-Fi接続して起動してからWi-Fiを切断して計測を開始しました。高速通信が可能なときに、ある程度のデータを先行して読み込んでいるのかもしれません。データ通信量の目安としては1時間に60MB程度と考えておけばいいでしょう。

SpotifyのFreeプランではアルバムやプレイリストを選択して[シャッフルプレイ]をタップするだけ。画像も少なく、低速通信でも操作は比較的快適です。

低速モードはアプリで切り替える

低速モードと通常の高速通信モードは、格安スマホ事業者が提供しているアプリで切り替えるのが一般的です。

IIJmioでは「IIJクーポンスイッチ(みおぽん)」というアプリをインストールしましょう。IIJmioの場合、高速通信できる通信量は「クーポン」としてプールされており、その残量を消費していきます。クーポンを[ON]にすれば高速通信、[OFF]にすれば低速通信となります。

iPhone(App Store)/Android(Google Play)

なお、IIJmioのクーポンOFF状態のデータ通信は、3日間で366MBまでという制限があります。超過した場合は通信速度が制限される可能性があります。

▼詳しくはこちら
通信規制はありますか? | IIJmio

「IIJクーポンスイッチ(みおぽん)」では、[OFF]が低速通信モードの状態です。

mineoの場合は「mineoスイッチ」アプリを使い、[節約ON](低速)と[節約OFF](高速)を切り替えます。

mineoでは低速でのデータ通信量に制限を設けていませんが、Aプラン(au回線)の場合、3日間で6GBを超える通信を行なうと「KDDI社より通信速度が終日制限される場合があります。」としています。

▼詳しくはこちら
データ容量を選ぶ|サービス紹介|mineo(マイネオ)

Apple MusicやAmazon Musicはダウンロードを推奨

このほか、Apple MusicやAmazon Musicでも音楽配信を行っていますが、この2つのアプリを試したところ、低速通信で通信状態が悪いと再生が途切れやすく、あまり快適ではありませんでした。電波状態によってはアプリを起動しても画面が表示されないこともありました。

両サービスは曲をダウンロードできるので、これらのサービスをメインに利用している人は、Wi-Fi環境でダウンロードして楽しむことをおすすめします。