高度な活用・DX事例
LINE Frontliner 野田大介
友だち1,000人を突破するまでに必要な対策と、効果的なメッセージ配信
LINE公式アカウントを開設してすぐ設定すべきことや、効率的な友だちの集め方、成果を出すためのメッセージ配信について、マーケティング支援を行う株式会社ファナティックの代表でLINE Frontlinerの野田大介氏に伺いました。
LINE公式アカウントの開設後、やっておきたい3つの設定
──LINE公式アカウントの開設後、最初にやるべきことを教えてください。
野田 初期設定をきちんと行いましょう。初期設定ができていないLINE公式アカウントは意外に多くありますが、LINE公式アカウントの概要が分からないとユーザーは友だち追加をためらってしまいます。初期設定は「自己紹介」と捉えてください。
まずは「プロフィール」の設定です。飲食店なら、住所、営業時間、テイクアウトの有無などの基本情報は必ず入力してください。またプロフィール画像と、その下に表示される「ステータスメッセージ」も重要です。店舗であればここに地域名や業種名を入れておくと、LINE内での検索対象となります。
プロフィールの「ボタン」は、問い合わせフォーム、電話、メールなど、LINE公式アカウントが連絡を取りやすい方法に表示変更できます。プラグインを追加すれば、メニュー画像やショップカードなど、業種に合わせたコンテンツの表示も可能です。
「あいさつメッセージ」もデフォルトのまま使っているLINE公式アカウントが多いですが、クーポンを付ける、カードタイプメッセージでメニューを紹介する、今後配信するメッセージの内容をお知らせするなど工夫してください。
「リッチメニュー」も最初に設定しましょう。飲食店なら新メニューを伝えるなど、業種に応じて設定してください。反対に、リッチメニューで他のSNSに意図なくリンクさせるのはオススメしません。URLを指定するとブラウザーが開いてアプリに誘導されるため、ユーザーが離脱する原因になるからです。
LINEは他のSNSと比べても、ユーザーの来店や購入といった目に見える反応が出やすい傾向があります。ただし、初期設定をおろそかにしたままで、メッセージ配信の頻度も少ないと、なかなか成果が出ないので注意が必要です。
初期設定と友だち追加ボタンの設置場所
プロフィールの「ボタン」はカスタマイズできる。
業種に合わせて「リッチメニュー」を設定する。
ECサイトのさまざまな場所に「友だち追加ボタン」を設置する。
友だちの集め方と、集める友だち数の目安
──友だちを集めるにはどのような施策が有効でしょうか?
野田 まずは既存ユーザーの目に触れるあらゆるところで、友だち追加の案内をしてください。店舗であれば、POPやカードの利用、声がけをするだけで、友だちは一定数集まります。
ECサイトには、友だち追加のボタンを設置しましょう。フッターに入れるケースが多いと思いますが、ヘッダーやモバイルサイトのハンバーガーメニュー(「≡」マーク)にも設置するのがオススメです。他にも、会員登録完了ページや購入完了ページや、メルマガのヘッダー・フッターにも入れられます。予算があれば、「友だち追加広告」の利用も検討してください。
──企業の規模や業種によって、友だちの数の目安があれば教えてください。
野田 小さな店舗なら100〜1,000人未満の規模がほとんどです。前述したような施策をすべて行っても、広告なしで友だち数を増やし続けるのは難しいでしょう。
小規模のブランドであれば1,000〜1万人、業界では知名度のあるブランドなら1万〜10万人が自然に増やせる友だち数の目安です。ナショナルブランドであれば、それほど知名度がなくても広告やツールの活用で10万人を超えることも可能です。
しかし、友だちの数は実はそれほど大事ではありません。関係性の薄いユーザーを増やすよりも、自社の商品やサービスに関心の高いユーザーとつながるほうが重要です。特に、LINE公式アカウントは従量課金制のため、友だちが増えるとメッセージの配信料が上がり、負担になるケースもあります。LINEプロモーションスタンプを活用する際は、ECサイトの会員情報とのID連携やアンケート回答など、後々活用できる情報を得られるメニューのほうが、関係性の深い友だちを獲得できます。
ブロックを恐れない、攻めのメッセージ配信
──ブロックが怖くてメッセージを配信できないという声もあります。
野田 少し厳しい言い方ですが、ブロックを恐れてメッセージを配信しないのは本末転倒です。配信後にブロックされるなら、むしろそのユーザーに感謝すべきです。なぜなら、関係性の深い・浅いに関係なく、メッセージを配信するのにかかるコストは同じだからです。どうせメッセージを配信するなら、自社の商品やサービスに関心の高い友だちだけを集めたほうが、配信効果は高くなります。
LINE公式アカウントのスタンダードプランなら、月に4万5,000通まで無料メッセージが送れます。セール開催や新商品発売などが控えているとき、友だちが1万人未満なら制限は気にせずに全配信してもいいでしょう。他には、カードタイプメッセージで新商品を案内するだけでも効果があります。一方、配信頻度が高く、無料通数を超えそうな場合は、セールの告知は優先度高、新商品の情報は優先度中というように優先度をつけて、月ごとに配信計画を立ててください。
友だちが1万人を超えたら、セグメント配信するのも効果的です。ただし、手動で管理する場合はメッセージを出し分けすぎると逆に工数がかかるので、「利用店舗別」「ブランド別」くらいの粒度でセグメントしたほうがよいでしょう。
──オススメの配信時間はありますか?
野田 お昼の12時ちょうどに配信するLINE公式アカウントが多いので、数分ずらして配信するのはよくあるテクニックです。いろいろ試したところ、テレビCMのタイミングを狙うとメッセージの開封率が高くなることが分かりました。特に番組の合間のCMが長くなる時間帯はスマートフォンを手に取る人が多く、開封されやすいです。
LINE公式アカウントの運用で重視するポイント
LINEの特性を生かした配信をしよう
──店舗型のビジネスで、LINEと共存させるべきアナログ施策はありますか?
野田 店舗では意図しない商品との出会いがあり、それも楽しみの1つです。来店時のワクワク感をLINE上で提供できるように、あえて情報を出しすぎないようにしたり、店舗だけの限定品をお知らせしたりする配信も効果的でしょう。
──他のSNSにはないLINEのメリットと、今後の可能性について教えてください。
野田 他のSNSは、アルゴリズムによる調整で宣伝投稿が表示されにくい場合があります。しかし、LINEは友だち全員にメッセージを配信でき、これは圧倒的なメリットです。
LINEは今後、コミュニケーションインフラとしてさらに進化するでしょう。そのとき、LINE公式アカウントを開設していないのは大きな機会損失です。まずは基本的な運用をしっかり整えて、ユーザーに自社のLINE公式アカウントを見つけてもらいましょう。
PROFILE
野田大介 氏
LINE Frontliner
株式会社ファナティック 代表取締役
ファッション誌の編集、スニーカーブランドの生産管理、アパレルブランドでの通販責任者を経て、2016年に株式会社ファナティック設立。大手アパレル通販のリニューアル支援や売上改善の傍ら、2017年にLINE公式アカウントのセグメント配信ツール「ワズアップ!」を開発。「安価でサイト側の改修も必要なく、運用の手間もなし」というツールの特徴を生かして、圧倒的効果を誇るLINEのセグメント配信を中小規模の事業者にも提供中。
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