高度な活用・DX事例
企業のLINE活用 | サントリービール株式会社
撮影して送るだけ! LINEミニアプリを利用した「ザ・プレミアム・モルツ」のキャンペーン
購入レシートを、スマートフォンで撮影して送信すると参加できる「ザ・プレミアム・モルツ」のキャンペーンでは、LINEミニアプリが利用されています。 取り組みの内容や得られた効果、今後の展望を、サントリービール株式会社・宮元尚哉氏に伺いました。
長期間にわたるキャンペーンを戦略的に設計
──「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドにおけるコミュニケーション戦略や方針、LINE公式アカウントの活用などについて教えてください。
宮元氏 ザ・プレミアム・モルツ(以下プレモル)では、日常生活にプレミアムビールを取り入れることで日常にメリハリをつけて、最高の時間を過ごしてほしいという思いから「ちょっと高級なビールにしようか」というメッセージを、テレビCM、Web、SNSなどを通して伝えています。LINE公式アカウントでは、アルコール類の情報を発信する「おとなサントリー」を2015年から運営しています。現在、2,000万人以上のユーザーに友だち追加いただき、主に酒類の商品について情報を発信しています。
──プレモルのキャンペーンにLINEミニアプリを導入した経緯を教えてください。
宮元氏 コロナ禍で外出・外食が減っていた当時の環境下、自粛生活にメリハリをつけるために少し贅沢してプレミアムビールを飲みたいという消費者ニーズの高まりを感じました。また、2020年10月の酒税法改正により、ビールカテゴリーは減税となったことがプレモルにとって追い風となる状況で、日常生活に浸透したLINEを活用して効果的にユーザー接点を持ち、プレモルを手に取る新たなきっかけ作りができると考え、LINEを使ったキャンペーンを検討し始めました。
プレモルのキャンペーンは、LINEミニアプリをプラットフォームにしています。購入商品に貼られているQRコード入りのシールを読み込み、認証を許可するとLINEミニアプリが起動します。LINEミニアプリ上で、ユーザーがプレモルの購入レシートを撮影して送信すると、レシート内容をOCR(光学文字認識:画像の文字を読み取りデータ化する技術)で判定する仕組みです。商品名が入っていたら、即座にLINE PayやLINEポイントを付与し、LINEから応募完了の通知を送ります。簡単に応募できることが、プレモル購入のハードルを下げると期待していました。
加えて、週に1回、繰り返し参加できるキャンペーンを長期にわたって実施することで、プレモル購入が習慣化されるのではと考えました。キャンペーンを通して新しいお客さまとつながり、購入頻度を上げていくのも狙いでした。
──キャンペーンの参加を週に1回とした理由、また長期にわたって参加する動機づけはどうしましたか?
宮元氏 もともと週末にご褒美としてプレモルを購入される方が多い傾向があることを顧客調査で把握していたので、週1ペースとしました。その上で、お客さまが楽しみながらキャンペーンに参加し続けられるように、ゲーム性のある仕組みを用意しました。参加するたびにスタンプラリーのようにスタンプがたまり、4つ集めるとLINEポイントが当たる抽選に参加できます。集めたスタンプ数に応じて、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナと会員ランクを分けています。会員ランクが上がるほど、付与されるスタンプ数が多くなるので、当選チャンスが広がります。これらを通じて、楽しみながら習慣化いただくことを狙っていました。
キャンペーン応募の流れ
LINEミニアプリの認証を許可したあと、レシートを撮影し、アンケートに回答すると、ポイントが付与される。※キャンペーン当時の画像
LINEミニアプリで画面遷移を最小限に
──キャンペーンのKPI(重要業績評価指標・目標の達成度合いを測る数値)は何に設定していますか?
宮元氏 キャンペーン全体では、応募のユニークユーザー数(以下UU数)をKPIにしています。代理店から日々の応募総数、累計UU数、流入元、購入日時、エリアなどのレポートを日次・週次でもらっています。同時にユーザーアンケートも実施しているので、クロス集計しながら、どういう方がどのような経緯でキャンペーンに参加しているのか、さまざまな示唆を得ています。
LINEミニアプリの流入元としていちばん多いのは、おとなサントリーのLINE公式アカウントのリッチメニューです。続いて製品に付けたQRコード入りのシール、LINEのホームタブに追加できるボタンアイコン、その他バナー広告経由です。
──LINEミニアプリでの応募促進のために工夫していることはありますか?
宮元氏 LINEミニアプリを起動したら、ファーストビューで応募ボタンを表示して迷わないようにするとともに、その後の画面遷移を最小限に抑えています。また、トップページには現在のランクも表示して参加意欲を高めています。
ファーストビューに応募ボタンとランクが表示されている。※キャンペーン当時の画像
──キャンペーンの成果はどのようなものでしたか?
宮元氏 外部の調査会社と連携してキャンペーンの参加者の属性を調べたところ、8割がこれまで直近1年間、プレモルの購入歴のない新規ユーザーだと分かりました。LINEミニアプリを使った今回のキャンペーンで、これまでリーチできなかった方に働きかけられたと考えています。また、今回のキャンペーンでは20〜30代の参加者が多く、業界として課題である若年層の新規獲得という点でも効果がありました。
キャンペーンの継続参加率も高く、4割以上のユーザーが2回目以降も参加しています。一度参加すると、応募してすぐにポイントが付与されるのでモチベーションがアップし、その後の参加率も自然と高くなるのだと思います。Webサイト上で実施する従来のキャンペーンと比較すると、ユーザーにも情報入力の手間がかからないのもポイントです。
ユーザーにインタビューしたところ、「最初はお得という理由で参加したが、毎週応募することでランクが上がり、それが楽しみになった」という声もありました。キャンペーンを通して、継続的にプレモルを飲んでくれる人を増やす狙いもあったので、大変うれしい反応です。
──継続参加のために何か工夫されていますか?
宮元氏 LINE公式アカウントのおとなサントリーから、キャンペーンについてのメッセージを配信して、リマインドしています。新商品の発売などと組み合わせて、情報の鮮度を保ちながら繰り返しお知らせすることで、リピート率を高めています。
「おとなサントリー」のLINE公式アカウント。※キャンペーン当時の画像
──LINEミニアプリで取得したデータを他のLINEサービスに活用することはありますか?
宮元氏 LINEのユーザーIDをもとに、LINEミニアプリを起動しているもののキャンペーンに参加していないユーザーにLINE広告を配信したところ、キャンペーン参加率の向上が見られました。
──今後、LINEをどのように活用したいですか?
宮元氏 LINE公式アカウントでのメッセージ配信の出し分けをしていきたいです。LINE公式アカウントで定期的に実施しているアンケートでは「買い物するときに重視すること」など、その人の価値観を探るような質問をしているので、回答に合わせてメッセージを出し分けたいです。例えば、品質を重視して選ぶ人なのか、お得さを重視して選ぶ人なのかでメッセージを変えることで、一人ひとりに最適な情報をお届けできると考えています。
PROFILE
宮元尚哉 氏
サントリービール株式会社 プレミアム戦略部
2006年サントリー入社。中国四国エリアでの小売店営業担当・営業企画、全国広域チェーンの本部営業を経て、2019年から現職。現在は、ザ・プレミアム・モルツ ブランドのプロモーション全般を担当。主に店頭販促、Web/SNS販促の企画立案を担当。
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