高度な活用・DX事例
LINE株式会社 池端由基
「Life on LINE」── 生活のプラットフォームとしてLINEが描く未来
LINEは今後、どう進化していくのでしょうか? LINE株式会社の執行役員であり、広告・法人事業を担当する池端由基が、LINE広告、LINE公式アカウントをはじめとするLINEの法人向けサービスの強みと、今後の展望について語りました。
LINEの魅力は常にユーザーファーストであること
──これまでの経歴を教えてください。
池端 新卒でネット広告の代理店に入社した後、2013年にLINEに転職し、法人向けサービスの営業担当となりました。当時のLINEはユーザー規模が拡大している最中でしたが、法人向けサービスはLINE公式アカウントだけでした。現在、法人向けサービスの売上はLINE全体の6割を占めていますが、当時は1割程度だったと記憶しています。
2016年頃からLINE広告のサービスを開始することになり、その責任者となりました。その後、大阪や福岡の拠点の立ち上げにも携わりました。当初、広告事業に携わるメンバーは約30名ほどでしたが、現在は500名以上の組織になっています。2020年からLINE広告に限らず、LINE公式アカウントや企業のDX推進など、法人事業全体を統括する立場になり、現在に至ります。
──LINE広告、LINE公式アカウントの強みは何ですか?
池端 LINE広告の最大のメリットは、月間利用者数8,900万人(2021年9月末時点)の全国のLINEユーザーにリーチできることです。しかも、LINEが保有しているデータを活用し、ユーザーの興味や関心、ライフステージを踏まえて最適な情報をお届けできます。
他の広告プラットフォームでもデータを使ったターゲティング機能はありますが、ユーザーが最初に登録した情報をもとに広告が配信され続けるケースも多いです。しかし、LINEは約8割のユーザーに毎日アプリを利用いただいており、ユーザーの日々の変化、興味や関心の移り変わり、行動データなどを学習しながら適切に広告を配信できます。広告であっても、その人にとって意味のある情報を配信できるのは大きな強みです。
一方、LINE公式アカウントは、先述したようにLINEが初期から提供している法人向けサービスです。友だち追加したユーザーに対してダイレクトにメッセージを配信でき、関係を維持できるという点で、他サービスにない優位性を持っています。コロナ禍において、対面訴求が難しい期間であっても、既存ユーザーとつながり続けること、ブランドを愛し続けてもらうことの大切さを実感した人も多いのではないでしょうか。
新規ユーザーを獲得できるサービスは他にもありますが、既存ユーザーとつながってコミュニケーションができるのは、LINE公式アカウントならではの特長です。また、LINE公式アカウントでは、セグメントを分けてユーザーに合わせたOne to Oneコミュニケーションも可能です。
加えて、メッセージ配信だけでなく、機能が拡張したり、他のサービスとの連携が進んだりしていることも、LINE公式アカウントの魅力の1つです。LINEのプラットフォーム上で、企業や店舗のサービスの一部を提供したり、体験できるようになりました。具体的には、LINEミニアプリを使った予約、ECなどですが、これらのサービスはユーザー固有のLINE IDで運用管理することで、ユーザー一人ひとりに最適な情報提供ができるようになっています。
──法人向けサービスを提供するなかで、印象に残っていることはありますか?
池端 LINEは「ユーザーファースト」をキーワードにして、いかにユーザーに価値のあるサービスを提供できるかを考えています。ある新サービスを企画するときに、社内から「それはユーザーにとっていいことなのか?」「よい体験を提供できるのか?」という指摘があり、結果として開発を止めたことがありました。プラットフォーマーの法人事業部で、これほどユーザー体験を意識して、自分たちのサービスに向き合っているメンバーを誇らしく思います。そして私自身、ユーザー体験を最優先で考える姿勢をLINEに与えられたと感じています。
もちろん、法人事業部だけでなく、プロダクトチーム、エンジニアリングチームも、ユーザー体験の向上に寄与できているかという観点で、サービスの開発・改善を行っています。社内にユーザー体験の創出に関わるプロフェッショナルがたくさんいて、手を取り合って協力することでよりよいサービスができますし、次のチャレンジにつながっています。
データを基盤に生活を支えるプラットフォームとして
──LINEは今後、どのように進化していきますか?
池端 LINEは「Life on LINE」という戦略を掲げています。LINEの上に人々の生活があるような、人生をサポートできるインフラとしてのコミュニケーションアプリを目指しています。
例えば、ある人が区役所に書類を取りに行って、そのあと保険を契約するとき、区役所に出向いたり、保険会社に連絡したりするといった作業が必要です。これらをすべてLINEを通して実現できればどうでしょうか? LINEが目指すのは広告プラットフォームではなく"ライフプラットフォーム"で、若い人からお年寄りまでLINEを活用して、生活における利便性向上を実現できればと考えています。
また、データ活用については、ただデータを収集したり、広告配信に使ったりといった一方向なものを目指してはいません。ユーザーの体験をよりよくするために、ユーザー理解を深め、最適な情報をお届けするためにデータを活用していかなければいけないと考えています。最近は企業のDXが注目されていますが、そこでもテクノロジーを活用して、ユーザー体験をいかにアップデートできるかという視点で物事を考える必要があります。
2021年3月に、LINEはYahoo!を傘下に持つZホールディングスと経営統合しました。この統合により、ユーザーとのタッチポイントがさらに広がり、今後、扱うデータ量の増加を見込んでいます。Life on LINEの戦略のもと、広告、マーケティング、DXなど、両社の関係がより強固になってユーザー体験の改善に役立てられると確信しています。
──読者の皆さんにメッセージをお願いします。
池端 ユーザー体験の向上に寄与する技術を、誰もが簡単に使えるツールとして提供することが、プラットフォーマーとしてのLINEの使命です。LINE公式アカウント、LINE広告をはじめとした弊社のサービスは、まだまだ大企業向けのツールだと思われているかもしれません。しかし、特に新型コロナウイルスの影響で、既存ユーザーとつながることやデジタル化の重要性を感じている、中小企業や地域のお店など、小規模な事業者の方々にも、ぜひご利用いただきたいです。
本書を読めば、弊社のサービスを明日からでも使えます。さまざまな運用のコツやポイントを掲載しているので、最大限に活用してください。
PROFILE
池端由基
LINE 株式会社 執行役員
広告・法人事業担当
新卒で、株式会社サイバーエージェントへ入社。自社メディアの広告セールスに従事。2013年、LINE株式会社へ入社。広告事業部にてLINE公式アカウントやLINEプロモーションスタンプなどのセールスを担当。2016年6月、運用型広告 LINE広告(旧:LINE Ads Platform)の立ち上げを担当。2018年1月、戦略クライアントへ広告・プロモーションのコンサルティング提案営業を行うエンタープライズビジネス事業部の事業部長、および新設された大阪オフィスの代表も務める。2019年1月、執行役員に就任し、現職。
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