CHAPTER 1-4
Domoの全体像

オールインワンのデータ活用基盤からアクションと変革が生まれる

データへの接続から準備、可視化、共有に至るまで、データ活用のための一連の機能をすべて兼ね備えているのがDomoの特徴だ。あらゆる業界での導入が進み、ビジネスを変革する事例が生まれている。

最強のデータ経営:オールインワンのデータ活用基盤からアクションと変革が生まれる

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本コンテンツは、インプレスの書籍『最強のデータ経営 個人と組織の力を引き出す究極のイノベーション「Domo」』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「はじめに」「おわりに」は以下のリンクからご覧ください。
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すべての機能がそろったデータ活用のプラットフォーム

DomoはBIとは異なるものであり、一部ではなく全社員によるデータ活用を支援することが前節で理解できたと思う。ここではDomoの機能面における全体像と、実際の利用イメージにスポットを当てていく。

Domoが備える機能は多岐にわたり、まさにオールインワンと言っていい。これまでに紹介した複数のシステムやツールの役割を備えた、データ活用を推進するための「プラットフォーム」(土台・基盤)と表現するのが適切だ。

Domoの代表的な機能は、以下の4つのキーワードを使って説明できる。

  1. 接続
  2. 準備
  3. 可視化
  4. 共有

「接続」は、必要なデータを取得するために外部のシステムやツールにつなげることを表す。この接続先にはExcelなどのファイルも含まれる。接続によって取得したデータは、Domoが持つクラウド上のデータベースに保存される。

「準備」は、Domoが備えているETLツールの機能に相当し、取得したデータを分析しやすい形に加工・変換することを指す。これにより、さまざまな種類や形式のデータを統合的に管理することが可能になる。

「可視化」は、接続・準備したデータを集計し、多彩なグラフやチャートとして表現する機能を指す。これにより、前節で述べたダッシュボードとカードが作成できる。

「共有」は、可視化したデータを使って社内でコミュニケーションするための機能だ。Domoはチャットやタスク管理のツールとして情報共有を助けてくれるほか、データの異常などを知らせるアラートによって組織内でのアクションを促す役割も担う。

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500種類以上のコネクターでデータソースに接続

各機能をもう少し掘り下げていこう。「接続」ではExcel、ERP、CRM、Web解析、デジタル広告などのファイルやシステム、ツールからデータを取得でき、それらはデータの源という意味で「データソース」と呼ぶ。また、データソースに簡単に接続するための機能を「コネクター」と呼ぶ。

例えば、Excelファイルからデータを取得したければ、Excel用のコネクターを使ってDomoにファイルをアップロードする。デジタル広告のデータを取得したければ、Google広告 ※1などのコネクターを使ってIDやパスワードを入力すれば、数ステップで接続が完了する。Domoには500種類以上のコネクターが標準で用意されており、さまざまなデータソースに接続できるようになっている。

※1 旧Google AdWords。2018年7月より名称変更された。

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Domoのコネクター

Domoに保存されたデータは高度なセキュリティによって保護され、アクセス可能なユーザー権限をきめ細かく設定できる。データを高速に検索できる仕組みも備えており、パフォーマンスの面でストレスを感じることは少ないだろう。

データの統合や整理の機能も標準で使える

「準備」で触れたとおり、DomoはETLツールの機能も標準で持っている。別途ツールを用意したり、自社で開発したりする必要はない。可視化のような派手さはないが重要な機能で、筆者も高く評価しているポイントだ。

複数のデータソースから取得したデータを組み合わせて分析するには、それぞれの形式を整え、共通する項目で結合するなどの処理が必要になる。また、重複や誤記、不要なデータを取り除くための「データクレンジング」も求められる。

通常、ETLツールを使うにはSQL ※2などデータベース関連の専門知識が必要だが、DomoではグラフィカルなUIでデータの加工・変換ができるようになっている。一般のビジネスユーザーでも操作に慣れれば、分析したいデータを自分で準備できるだろう。決まった処理をジョブとして登録することで、定期的に取り込むデータの統合や整理を自動化できるのも魅力的だ。

※2 データベースにおいてデータの操作や定義を行うためのプログラミング言語。

豊富な表現のカードとダッシュボードで可視化

「可視化」の機能は実に豊富だ。Domoは決して可視化だけのツールではないが、それだけを取り出しても優れた特徴を持っている。

取り込んだデータを自在に組み合わせて、簡単な操作で製品・期間・地域などの条件で絞り込みや並べ替えを行い、目的のデータにフォーカスしたカードを作成できる。そして、複数のカードを好みのサイズやレイアウトで1つのページにまとめれば、すばやく状況を把握してインサイトを導き出せるダッシュボードが完成する。

また、可視化のための「アプリ」も用意されている。職種別・業種別のアプリを利用すれば、それぞれに適した可視化によって注視すべきデータを教えてくれる。一部のデータソースには接続しただけでダッシュボードが完成するアプリもあり、例えば「Google Analytics QuickStart」では、Webサイトへの日別の訪問数や滞在時間などが即座にダッシュボード化される。

可視化で常に意識したい「アクショナブル」とは?

ただ、カードの作成やダッシュボードの構築を進める上では、常に意識してほしいことがある。それは「アクショナブル」(actionable)なカードやダッシュボードにすることだ。

アクショナブルにはいくつかの意味があるが、ここでは「ビジネス上の何らかの行動・実施につながる」と定義する。要は、前節で述べた「データの可視化からアクションが生まれる」ことを意識すべし、ということだ。

Domoに限らず言えることだが、アクショナブルでないダッシュボードを構築しても、ビジネス価値につながるインパクトは生まれにくい。Domoで作成したカードを例に、ここで「アクショナブルとはどういうことか」を説明しておこう。

まず、今年度の売上額を可視化したいとする。すぐに思い浮かぶのは、現在までの累計を数字で表す方法だ。単純明快だが、これが目標値に対する進捗として良いのか悪いのかを「診断」できないという意味で、アクショナブルとは言えない。

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数字のみの可視化

そこで、目標値として売上額の年間目標(予算)を加え、温度計のようなサーモメーターで可視化すると以下のようになる。最大値が年間目標で、それに対して現状の売上額がどこまで達成できているかを表現するわけだ。

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サーモメーターで表現

こうすると、現在の売上額が年間目標に達していないことがわかり、アクショナブルになったように見える。しかし、現時点では達していないことがわかるだけで、「今、アクションをとるべきかどうか」はわからない。

そこで、前年実績などに基づいて、売上額を現在までの実績と今後の予測までを含めた「年間売上額の着地見込み」で見ることにする。また、未達であればサーモメーターを赤にするように可視化したのが以下の画面だ。

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目標を加えたサーモメーター

こうすると、現在の売上額に基づく進捗では年間目標に達しないことがわかり、「今から売り上げのペースを上げる何らかのアクションが必要だ」と理解できるだろう。

アクショナブルの例としてもう1つ、売上額の推移を可視化するケースを考えてみたい。以下の画面は前年度と今年度の推移を縦棒グラフで表しているが、月ごとの売上額を単純に並べているだけで、伸びているのかどうかがわかりにくく、アクションにも結びつかない。

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縦棒グラフでの可視化

そこで、前年度の売上額は折れ線グラフ、今年度の売上額は縦棒グラフとして表現すると、以下のようになる。グラフの種類を変えることで前年度と今年度を容易に比較でき、すべての月で前年度の売上額を上回っていることがわかった。

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縦棒に折れ線グラフを追加

しかし、前年度の売上額ではなく、今年度の年間目標を月ごとにならした売上額をベースラインとして表示すると、かなり景色が変わってくる。今年度はベースラインと比較すると、達成すべき平均売上額を下回っている月が多いようだ。

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縦棒にベースラインを追加

さらにアクショナブルにするために来月以降の見込みも加えると、以下のようになる。このままのペースでは今年度が終わったときに未達となる予測であり、特にベースラインを割る月でのテコ入れが必要であることが理解できるだろう。

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見込みの縦棒とベースライン

これらは基本的な例だが、データをどう可視化するかで、得られるインサイトや起こすべきアクションが変わってくることがわかると思う。実際にDomoでカードやダッシュボードを作成・構築するときは、「アクショナブルになっているかどうか」でその善し悪しを判断してほしい。

データを軸としたチャットやアラートも実現

「共有」を司る代表的な機能には、カードを軸にしてDomoのユーザー同士でチャットできる「Buzz」(バズ)がある。メールよりもすばやく、かつ実際のデータに基づいたコミュニケーションを図ることができ、もちろんモバイルアプリでも使える。

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チャット機能の「Buzz」

こうした機能は社内におけるスピーディーな合意形成のほか、自分以外のメンバーにアクションを促したいときにも役立つ。有効性を試しながら使ってみるといいだろう。

また、データに異常な動きが見られたとき、Domoの画面上やメール、モバイルの通知などで知らせる「アラート」も見逃せない機能だ。重要な指標にあらかじめ閾値を設定しておき、それを上回った(下回った)タイミングなどでアラートを送信し、関係者にアクションを促せる。

例えば、デジタル広告のクリック単価が一定金額以上に高騰したときにアラートで知らせれば、広告運用チームが出稿を一時的に停止するなどの対策を取れるだろう。こうした「アクションへのつながりやすさ」を実現する工夫がふんだんに盛り込まれているのも、Domoの大きな特徴となっている。

小売・製造・メディアなど世界1,500社以上で導入

Domoは多機能であると同時に、汎用性の高いプラットフォームだ。すでに世界1,500社以上で導入されており、多様な業界での事例が豊富にある。各業界での利用イメージも紹介しておこう。

まず小売業では、多くの店舗でPOSが導入されているものの、それが可視化されているケースは意外なほど少ない。Domoを導入すればPOSデータをリアルタイムに可視化することが可能になり、エリアマネージャーがその内容を見て、商品陳列や仕入れなどの改善をストアマネージャーに指示するなどのアクションを実現できるだろう。

製造業では、IoTの浸透によりデータの増大が顕著だが、その集約と可視化にもDomoは有効である。倉庫管理ソフトウェアと連携して注文・出荷にかかるコストを追跡する、あるいは製品ラインのデータや品質、廃棄率などをモニタリングして問題の早期発見に役立てる、といった使い方が考えられる。在庫と生産能力のデータから将来を予測し、倉庫内の効率を高める方法もあるだろう。

マスコミやメディアでは、データの果たす役割が極めて大きい。広告代理店ではデジタル広告やSNSといったネット媒体が急成長しており、これらのデータの高精度かつリアルタイムな把握、テレビなど他媒体の影響を加味した上での分析が急務だ。

また、Webメディアではデジタル広告が収益の柱となるため、記事のページビューと広告のインプレッション ※3、クリック率などを関連付けた上で分析し、サイトの改善施策を練るためにDomoが役立つだろう。

※3 デジタル広告の表示回数のこと。「IMP」(インプ)とも略される。

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専門サービスやITも含む多様な業界で活用できる

コンサルティングなど、プロフェッショナルサービスと呼ばれる領域でもDomoは利用されている。こうした領域ではスタッフの稼働率が収益に大きく影響するが、Domoを使えば各スタッフの稼働状況を細かくモニタリングできるほか、受注のペースから予算を達成するために必要となるアクションを検討することもできる。

テクノロジー業界ではソフトウェアの利用状況の把握、問い合わせの内容や件数、コールセンターの応答時間などの管理にDomoを応用できる。また、サブスクリプションモデル ※4のサービスでは、過去のデータから解約のリスクがある顧客を予測し、実際に解約される前にサポートを申し出るなどのアクションに結びつけることが可能だ。

CHAPTER 2-1以降では、筆者が直接取材した国内外の事例からDomoの具体的な導入メリットを紹介していくので、ぜひ参考にしてほしい。

※4 製品やサービスを個数ではなく、月額制などの利用期間に応じた対価によって提供する方式のこと。

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