CHAPTER 4-4
AI・機械学習による未来予測

ビジネスユーザーとAIの協働でデータ活用は新たなステージへ

Domoが重視する新しい方向性の1つに、AI・機械学習の領域がある。データサイエンティストなどの専門家でなくても、データから将来を予測し、成長のためのアクションに生かせる世界が、すぐそこにまでやってきている。

最強のデータ経営:ビジネスユーザーとAIの協働でデータ活用は新たなステージへ

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本コンテンツは、インプレスの書籍『最強のデータ経営 個人と組織の力を引き出す究極のイノベーション「Domo」』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「はじめに」「おわりに」は以下のリンクからご覧ください。
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Domoが注目する「未来予測」の領域

ここまでDomo導入の初期プロジェクトを想定し、KPI設定やチーム体制について説明してきた。近い将来、自社が成功するためのイメージはつかめてきただろうか?

本節では、その近い将来においてDomoというプラットフォームがさらに進化しているであろう「未来予測」の領域にスポットを当てたい。それは一般のビジネスユーザーがより高度なインサイトを得ることを可能にし、データ活用を新たなステージに導くきっかけとなる。

予測値と目標値の比較はアクションの源泉に

Domoによって「アクショナブルな可視化」を実現するときには、現在までの実績値と予算などの目標値を単に比較するだけでなく、実績値に将来の見込みまで加えた着地点を予測し、それを目標値と比較することが効果的だとCHAPTER 1-4で述べた。

また、CHAPTER 2-2などの事例でも、複数の企業がDomoを使った未来予測についての期待を寄せている。データ活用は現状把握に留まるものではなく、将来を予測して有効な手を「先んじて」打つためのもので、それは多くの企業における共通認識だと言っていい。

Domoにはすでに、こうした未来予測のための機能が実装されている。その1つが「最後の値の予測」で、一部のグラフで実績値の平均や線形回帰 ※1に基づく予測値を追加できるようになっている。

※1 統計学における回帰分析の一種。説明変数と目的変数の関係を線形のモデルで表す。

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「最後の値の予測」のメニュー。単一積上げ棒グラフや折れ線グラフでは、カードの編集画面の[プロパティ]→[チャートの設定]→[最後の値の予測]から予測値を追加できる。

また、Domoには「Beast Mode」と呼ばれる機能もある。これは既存のデータセットに関数やスクリプトを組み合わせた「計算フィールド」を作成し、独自の指標を作り出すためのものだ。

例えば、現在までの売上実績の平均値を算出し、それと今期の残⽇数を掛け合わせて当月以降の売上額の予測値を求める、といった活用も想定できる。計算フィールドの指標はカードの「まとめ数字」にも適用でき、アクショナブルな可視化に役立つだろう。

こうした未来予測は、企業のさまざまなデータがDomoに一元的に集約されてこそ実現できる。予測の基となる実績値などのデータが豊富であるほど精度が高まり、正しい意思決定につながることを覚えておきたい。

AIで強化されたアラートやレコメンデーション

さらに、Domoには「Mr. Roboto」と呼ばれるAI・機械学習のプラットフォームも組み込まれている。これは機械学習アルゴリズムや予測分析を活用し、インサイトの発見、見るべきデータのレコメンデーション、アラートによる異常検出などを、さらに高度なレベルで実現する。

このMr. Robotoによって強化された機能の1つが「アラートセンター」(Alerts Center)だ。Domoにおける重要なアップデートや変化がダイナミックかつパーソナライズされた状態で表示され、今この瞬間に、自社のビジネスで何が起きているのかを把握できるようになっている。

具体的な情報としては、ユーザーのカード閲覧状況、新しいカードやユーザー、フォローしているアラート、盛り上がっているBuzzなどが表示される。Domo上のデータが増えるほどMr. Robotoの精度が向上するため、Domoを使い込むほどに有益な情報が集まるようになる。

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Domoのアラートセンター

既存のデータの機械学習でインサイトを導き出す

また、「データサイエンス」(Data Science)と呼ばれる、高度なインサイトをDomoが自動的に提示する機能もMr. Robotoによって強化される。

Domo上のすべてのデータセットに対して、機械学習アルゴリズムの適用と予測分析を実施することで、将来における顧客離れや売上予実の差異、マーケティングROIなどを予測。重要な意思決定をいち早く下すことが可能になる。

こうしたAI・機械学習による恩恵を、データサイエンティストなどの専門家だけでなく、一般のビジネスユーザーにまで広げようとするところがDomoならではの魅力だ。創業者のジャシュ・ジェイムズ氏は、Mr. Robotoの発表に際して次のように述べたという。

「予測アルゴリズムに人間のインサイトを組み合わせることで、個別のビジネスデータを見るより、はるかに正確な予測と傾向を導き出すことができます」

近い将来にDomoが描いているのは、ビジネスユーザーが持つ現場に根ざした知見に、AI・機械学習が導き出したインサイトが加わるプラットフォームだ。すでにその動きは着実に始まっている。

ビジネスユーザーのデータ活用こそ企業が成長する道筋

数年前まで、多くの企業ではデータが場当たり的に利用されており、将来を見据えた戦略的な視点で生かされることは少なかった。BIやビッグデータといったトレンドは、データの有用性に光を当てることになったが、一般のビジネスユーザーにとっては、やはりハードルが高かった。

そうした状況をDomoは一変させてしまった。データサイエンティストやアナリストに依存することなく、誰もが必要なデータを参照し、自分やチームが成果を出すことに役立て、組織に貢献する。結果、企業が競争力を維持・強化し、持続的に成長するための道筋が示されたのだ。

Domoを基盤としたデータ活用は、あらゆる企業にとって大きな可能性を秘めている。しかし、どのようなデータを用い、どのように活用していくことがビジネス価値を生むのか、その最適解は企業の数だけあるだろう。ぜひみなさんがプロジェクトの旗振り役となり、その答えを見つけてほしい。

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