006 サイト改善の考え方
トラフィックポートフォリオを最適化し、質の高いセグメントを育てる
サイト全体からセグメントを取り出したあと、その改善の方向性には大きく分けて2種類があります。
1つは、コンバージョン率の高いトラフィックのボリュームを増やし、サイト全体における比率を高める考え方で、筆者はこれを「トラフィックポートフォリオの最適化」と呼んでいます。例えば、以下の表のように、ある期間におけるコンバージョン率が1%の流入元Aと2%の流入元Bがあり、それぞれのセッション数が1,000だったとします。
トラフィックポートフォリオの最適化 実施前
流入元 | セッション数 | コンバージョン率 | コンバージョン数 |
---|---|---|---|
流入元A | 1,000 | 1.00% | 10 |
流入元B | 1,000 | 2.00% | 20 |
サイト全体 | 2,000 | 1.50% | 30 |
ここで、流入元Bのほうが売り上げに貢献している(コンバージョン率が高い)ことを見つけたWeb担当者が、流入元A向けの施策にかけていた予算を減らし、そのぶんを流入元Bに振り分けるというアクションを起こします。結果、流入元Aからのセッション数は半減しましたが、流入元Bからのセッション数は1.5倍に増えました。すると、以下の表になります。
トラフィックポートフォリオの最適化 実施後
流入元 | セッション数 | コンバージョン率 | コンバージョン数 |
---|---|---|---|
流入元A | 500 | 1.00% | 5 |
流入元B | 1,500 | 2.00% | 30 |
サイト全体 | 2,000 | 1.75% | 35 |
サイト全体のセッション数は2,000と変わりませんが、コンバージョン率は1.75%、コンバージョン数は35に改善します。施策にかける予算は同じで、より高い成果を上げられるようになるわけです。
ポイント
- ダイレクトトラフィックや参照トラフィックなど、Web担当者側ではほぼコントロールできないトラフィックもありますが、コントロールできるトラフィックについては、ポートフォリオの最適化を意識した施策を実行することで全体のパフォーマンスが改善します。
コンバージョン率が高いセグメントからのトラフィックを増やせば、サイト全体にインパクトのある改善を実現できます。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
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