168 カスタムレポートの活用

カスタムレポートの構成要素を理解する

Web担当者が独自に作成できるカスタムレポートを適切に活用するには、まず、カスタムレポートの構成要素を正しく理解する必要があります。構成要素は以下の表の通りです。

カスタムレポートの構成要素

要素名内容
タイトルカスタムレポートの名前。
レポートタブディメンションと指標の組み合わせをまとめたタブ。レポートタブは最初から1つ用意されるが、追加・複製でき、カスタムレポートで切り替えて表示できる。
名前レポートタブの名前。
種類レポートタブの種類を[エクスプローラ][フラットテーブル][地図表示]から選択できる。エクスプローラはディメンションの項目がクリッカブルになっており、クリックすると次のディメンションが表示される、いわゆるドリルダウン形式のレポートを実現する。フラットテーブルはドリルダウンせず、設定したすべてのディメンションが一覧で表示される。地図表示は[地域]レポートのように地図を表示する。
指標レポートタブの種類がエクスプローラの場合、[指標グループ]を作成できる。1つの指標グループにつき指標は10個まで指定でき、指標グループは5つまで作成できる。フラットテーブルの場合はグループはなく、指標は25個まで指定できる。
ディメンションディメンションを5階層、または5つまで指定できる。
フィルタカスタムレポート全体に適用するフィルタ。ディメンションの項目に対する[一致]または[除外]を選択できるほか、マッチタイプは[完全一致][正規表現一致]から選択できる。5つまで適用できるが、それぞれがAND条件で適用され、OR条件は利用できない。
ビューカスタムレポートを紐付け、利用可能にするビュー。アカウントに設定されているすべてのビュー、または個別のビューを選択できる。

カスタムレポートの根幹は「ディメンションと指標の組み合わせ」にあります。ワザ090では、ディメンションは「○○ごとの」「○○別の」と表現できる言葉だと解説しました。例えば「売上額」という指標を見たいとして、それを「事業部別に」見るのか、「地域別に」見るのか、あるいは「製品ごとに」見るのかで、得られる知見は異なってきます。

見たい指標があり、それをどう切り分けるかによって、適切なディメンションを選択する必要があるわけです。指標を切り分ければ「比較」が可能になり、データが「意味」を持ちます。

ただし、ディメンションと指標は、どれでも自由に組み合わせられるわけではありません。ディメンションと指標は、ともに「ユーザー」「セッション」「ページ」という「階層」を持っており、同じ階層のディメンションと指標を組み合わせる必要があります。この階層は次のページにある表の通りですが、以下の公式ヘルプにも記載があります。

ディメンションと指標

ディメンションと指標の階層

要素階層
ユーザーセッションページ
ディメンションデバイスカテゴリ

地域
ユーザータイプ
参照元
メディア
キャンペーン
ランディングページ
セッション数
ページ
ページタイトル
指標ユーザーセッション
セッションの滞在時間
ページ/セッション
新規ユーザー
直帰数
直帰率
新規セッション率
収益
目標の完了数
コンバージョン率
ページビュー数
ページ別訪問数
離脱数
ページ滞在時間

例えば、ディメンション「ページ」に指標「セッション」を組み合わせたカスタムレポートを作成することは可能ですが、階層が異なるため、正確な(有効な)レポートにはなりません。ページごとのセッション数を見たいのであれば、ディメンション「ページ」に対して指標「ページ別訪問数」を組み合わせる必要があります。

ただ、公式ヘルプには記載がないものの、実際には、階層が異なっていても有効なレポートを作成できる組み合わせが存在します。階層の「大きさ」を規定し、大きい順にユーザー、セッション、ページという順序で構成されていると考えると、大きな階層のディメンションに、小さな階層の指標を組み合わせることは有効です。

具体例としては、ディメンション「ユーザータイプ」と指標「コンバージョン率」の組み合わせは成立します。逆に、ディメンション「ページ」と指標「コンバージョン率」は成立しません。カスタムレポートの作成にあたっては、こうしたディメンションと指標の階層について理解し、適切な組み合わせかどうかを判断できるようにしましょう。

ポイント

  • 階層のうち、ページは「ヒット」とも表現されます。ヒットとはGoogleアナリティクスが処理するデータの最小単位で、ページビューのほか、イベント、eコマースのトランザクション、ソーシャルインタラクションなどがあります。

カスタムレポートを適切に、自由自在に使いこなせるようになれば、あなたはもうGoogleアナリティクスの中・上級者になったと言えるでしょう。