230 タグマネージャの応用

2回目の購入を促進する

ECサイトで顧客(=コンバージョンしたユーザー)を定着させるには、なるべく短期間で2回目の購入をしてもらうことが重要、という考え方があります。初回の購入はユーザーにとって、ある種の「お試し」です。2回目以降の購入をもって、サイトをしっかりと認知するとともに、初回の購入がそのユーザーにとってポジティブな体験だったことが証明されます。

多くのECサイトでは、1回だけ購入したユーザーが突出して多いでしょう。そうしたユーザーをリピーターに育てるには、なるべく早く2回目の購入をしてもらう必要があるわけです。

初回購入ユーザーだけをターゲティングして、サイトの再訪問や2回目の購入へと誘導するにはリマーケティングが有効ですが、通常のユーザーリストやセグメントの定義ではリストを作成できません。以下で解説するカスタムディメンションとGoogleタグマネージャを利用した手法で実現します。

カスタムディメンションを作成する

Googleアナリティクスで[範囲](スコープ)を[ユーザー]としたカスタムディメンションを作成します。ここでは例として、名前を「purchaseNumber」としています。また、カスタムディメンションのインデックスには「1」が割り当てられています。

使用画面管理 > カスタム定義 > カスタムディメンション

2回目の購入を促進する - できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版

変数を作成する

デバイスをまたがった既購入回数は、ECサイトのサーバー側から出力する必要があります。まず、HTMLソースに以下のスクリプトを、Googleタグマネージャのコンテナスニペットよりも前に記述します。

<script>
  dataLayer = [{
    'purchaseNumber': 'Value'
  }];
</script>

3:ValueにはECサイトのサーバー側から既購入回数を出力する

続いて、dataLayer変数として出力された既購入回数を格納するため、Googleタグマネージャで種類が[データレイヤーの変数]のユーザー定義変数を作成します。ここでは変数の名前を「purchaseNumber」とし、[データレイヤーの変数名]も「purchaseNumber」とします。

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設定内容

変数の種類データレイヤーの変数
データレイヤーの変数名purchaseNumberr
データレイヤーのバージョンバージョン2

トリガーを作成する

eコマースの購入完了ページで発火するトリガーを作成します。種類は[ページビュー]、発生場所は[一部のページビュー]とし、ページURLに「/thanks.html」を含む、などの条件を指定します。このトリガーは、次のページで作成するタグで利用します。

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設定内容

トリガーの種類ページビュー
このトリガーの発生場所一部のページビュー
Page URL 含む /thanks.html(購入完了ページ)

タグを作成する

購入の発生をイベントとして送信するためのタグを作成します。トラッキングタイプは[イベント]とし、イベントトラッキングのパラメータの値を入力します。また、オーバーライド設定を有効にし、詳細設定にある[カスタムディメンション]で、インデックスが「1」のカスタムディメンションに前述の変数「purchaseNumber」がセットされるようにします。

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設定内容

タグタイプユニバーサルアナリティクス
トラッキングタイプイベント
イベントトラッキングパラメータ
カテゴリ Set
アクション purchaseNumber
オーバーライド設定を有効
カスタムディメンション
インデックス 1
ディメンションの値
purchaseNumber(作成した変数)

以上のタグを公開することで、ユーザーが商品を購入する(サンクスページを表示する)たびに、カスタムディメンション「purchaseNumber」の値に既購入回数がセットされます。初回購入者だけを収集したリマーケティングのユーザーリストを作成するには、カスタムディメンション「purchaseNumber」が「1」に一致、という条件でリストを定義しましょう。同様に既購入回数が2回のユーザー、5回以上のユーザーといったリストも作成できます。

ポイント

  • カスタムディメンションは「あとから設定された値で前の値を上書きする」仕様となっています。そのため、purchaseNumberに格納される値は、既購入回数とともに1、2、3と上がっていきます。

1回購入した顧客は、それっきり購入しない顧客と、繰り返し購入する顧客に分かれていきます。この施策は後者をなるべく増やすために重要です。