154 機械学習の活用

機械学習による目標設定をAdWordsの最適化に活用する

Googleアナリティクスの目標に関する機能である「スマートゴール」は、セッションごとのコンバージョンにつながる可能性を「セッションの品質」として測定し、その上位5%を「コンバージョン」として識別することで、Google AdWords(現:Google広告)の最適化を実施しやすくします。

通常、AdWordsの広告最適化に取り組むには、サイト内のゴールページ(サンキューページ)にAdWordsのコンバージョントラッキングタグを実装するか、Googleアナリティクスの目標をAdWordsにインポートし、広告のクリックとコンバージョンやトランザクションを明確に紐付ける必要があります。しかし、それを実現するには、多少の技術的な知識と時間、外部に委託した場合は費用がかかるのも事実です。

Googleがスマートゴールをリリースした背景には、何らかの事情でAdWordsのコンバージョントラッキングができない広告主に対して、タグの挿入なしでコンバージョンの計測を可能にすることが第一義としてあります。スマートゴールは次のような仕組みで、Googleアナリティクスにおける目標(コンバージョン)を自動的に設定します。

  • セッション時間、ページ/セッション、地域、端末、ブラウザーを含む多数のセッションに関するシグナルを機械学習で分析し、「コンバージョンにつながる可能性」を判別する。
  • レポート期間におけるセッションのうち、「コンバージョンにつながる可能性」のランキングで上位5%にあたるものを「目標完了」とする。

スマートゴールを有効にするには、GoogleアナリティクスとAdWordsのアカウントをリンクしたうえで、[管理]画面の[目標]で以下の設定を行います。スマートゴールの達成状況は[スマートゴール]レポートで確認できるようになります。

使用画面管理 > 目標

独自のパラメータをカスタムキャンペーンに変換する - できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版

使用画面コンバージョン > 目標 > スマートゴール

独自のパラメータをカスタムキャンペーンに変換する - できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版

また、Adwordsの管理画面で、Googleアナリティクスの目標として作成されたスマートゴールをインポートします。これにより、スマートゴールを利用したAdWordsの最適化が可能になります。

スマートゴールはGoogleアナリティクスで計測される大量のデータの機械学習に基いているので、人間では相当時間をかけて分析しないと知見として得ることのできない要素を含めて、「コンバージョンにつながる可能性」を見出してくれます。機械学習の成果をサイト改善や広告最適化につなげる機能としては、ワザ223で解説する「スマートリスト」もあり、Web担当者にとって大きな価値となるでしょう。

ポイント

  • スマートゴールを利用するには、設定前の30日間にアカウントをリンクしたAdWordsから500回以上のクリックが発生している必要があります。
  • スマートリストを利用するには、1か月あたり500回以上のeコマーストランザクションが発生し、1日のページビュー数が10,000を超えている必要があります。

明確なコンバージョントラッキングを行うのが理想的ですが、何かしらの事情で困難な場合は「スマートゴール」を利用しましょう。