008 Web解析の周辺知識
データに文脈を付与する5つのテクニックを知る
Googleアナリティクスを利用してユーザーの利用状況を可視化し、実際にサイト改善を進めるにあたっては、Web担当者が上長や同僚、他部署などをデータで説得することが必要な場面が多々あります。これはWeb解析のコンサルティングを事業としている筆者も同じで、お客さまをデータで説得し、アクションを起こしていただかないとサイト改善が実現しません。
このような場面で、データに説得力を持たせる説明方法としては以下の5つがあります。
トレンド
方法
- 時系列の量的な変化(推移)を訴求する
具体例
- 新規ユーザー数が四半期に3%のペースで減少している。新規ユーザーの訪問を獲得するためのキャンペーンを実施したい。
構成比
方法
- サイト全体のパフォーマンスを構成する比率で重要度を訴求する
具体例
- リスティング広告からのコンバージョン率は3%しかないように見えるが、起点となったクリックで評価すると売上額の15%がリスティング広告から発生している。出稿を継続したい。
同期比
方法
- 前月、前週、前年の同じ月など、同じ期間で比較したデータで訴求する
具体例
- Googleの検索アルゴリズムの変更により、前年同月比で自然検索からのセッション数が35%も減少してしまった。本質的な解決を図るため、外部SEOコンサルタントを雇用したい。
サイト全体との比較
方法
- 特定セグメントのパフォーマンスがサイト全体から乖離していることを訴求する
具体例
- メールマガジンから誘導したセッションのコンバージョン率が、サイト全体の平均値よりも50%高い。新たにシステムを導入し、購入履歴をベースにしたターゲットメールを配信したい。
金額での表現
方法
- 施策の期待効果を金額で訴求する
具体例
- ランディングページを最適化して直帰率を5ポイント下げられれば、月間30万円の売り上げの増加が期待できる。ライターを手配してコンテンツの制作に取りかかりたい。
組織を動かすには、データを羅列してもうまくいきません。データに文脈を与えて、提案の重要度を訴求することが大切です。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
- 本書は2色刷のため、画面はグレースケールとなります。