063 キャンペーンの設定
メールマガジンの効果測定を実施する
メールマガジンを定期的に配信しているサイトは非常に多く、自社の商品やサービス、コンテンツに興味のあるユーザーのトラフィックを獲得する主要な手段の1つになっています。しかし、筆者の経験上では、メールマガジンの効果測定をしていないWeb担当者を見かけることがあり、効果測定をしていてもベストな方法ではないケースも散見されます。ここでは、メールマガジンの効果測定におけるベストプラクティスを紹介します。
メールマガジンに記載するリンク先URLにカスタムキャンペーンのパラメータを付与する
これにより、メールマガジンの効果測定が可能になります。Googleアナリティクスの[管理]画面で設定するのではなく、Web担当者自身がパラメータを付与したリンク先URLを作成し、メール配信システムなどに入力する形になります。
utm_sourceパラメータにはメールマガジンの発行日を指定する
同じ日に複数のメールマガジンを発行する場合は、例えば「20180301_segmentA」のように発行日+識別子の形にします。これにより、発行日や発行号ごとの効果測定が可能になります。
utm_mediumパラメータには固定で「email」を指定する
これにより、[マルチチャネル]レポートにおいてメールマガジンが「メール」として識別されるようになります。「mail」「e-mail」「mailmag」などでは識別されません。
utm_campaignパラメータにはキャンペーン名を指定する
同一のキャンペーンでメールマガジンを含む複数のメディアを利用する場合は、例えば「2018spring」(2018年春の感謝祭)といったキャンペーンの識別子を指定します。これにより、キャンペーン全体の効果測定と、その一部としてのメールマガジンの効果測定の両方が可能になります。省略してもかまいません。
個別のリンククリックの測定には独自のパラメータも併用する
メールマガジンに掲載した複数のリンク先URLについて、どのリンクがもっともクリックされたか、コンバージョンにつながったのかを計測したい場合には、前述のutmパラメータと同時に、独自のパラメータ(例:linkid)を利用します。これにより、個別のリンク先URLの効果測定をしながら、メールマガジンの直帰率をもっとも現実に即した形で計測できるようになります。省略してもかまいません。
以上を踏まえると、実際にメールマガジンに記載するURLは以下のようになります。
https://dekiru.net/article.html?utm_source=20180301_segmentA&utm_medium=email&utm_campaign=2018spring
1:utm_sourceパラメータの値として「20180301_segmentA」、utm_mediumパラメータの値として「email」、utm_campaignパラメータの値として「2018spring」を指定している
なお、カスタムキャンペーンのパラメータの公式ヘルプに従った説明は次のようになります。
カスタムキャンペーンのパラメータと内容
パラメータ | 種類 | 内容 |
---|---|---|
utm_source | 必須 | キャンペーンのソース。プロパティにトラフィックを送信する広告主やサイトなどを指定する。 |
utm_medium | 強く推奨 | 強く推奨 キャンペーンのメディア。広告メディアやマーケティングメディアを指定する。以下は各メディアの予約語であり、この表記に従うことが強く推奨される。 リスティング広告:cpc または ppc ディスプレイ広告:display メールマガジン:email アフィリエイト:affiliate |
utm_campaign | 推奨 | キャンペーンの名前。キャンペーンのテーマやプロモーションコードなどを指定する。公式ヘルプでは必須とされているが、実際にはutm_campaignパラメータを使わなくても[すべてのキャンペーン]レポートに表示されないだけで、utm_sourceパラメータの値を参照元、utm_mediumパラメータの値をメディアとしてトラッキングが可能。 |
utm_term | 省略可 | キャンペーンのキーワード。リスティング広告の場合は検索キーワードなどを指定する。 |
utm_content | 省略可 | キャンペーンの内容。似通ったコンテンツや同じ広告内のリンクを区別するために指定する。 |
こうして設定したキャンペーンの計測結果は、[すべてのキャンペーン]レポートで表示できます。このレポートでは、実施しているすべてのキャンペーンについて網羅的な情報を得られますが、メールマガジンの効果測定を実際に行っていく際は、設定したパラメータに即してセグメントを適用したり、コンバージョンの経路を分析するレポートを参照したりします。
ポイント
- カスタムキャンペーンはメールマガジンに限らず、リスティング広告などでも活用されます。
- メールマガジンでは、utm_mediumは必ず「email」にしてください。これをしていないWeb担当者をよく見かけますが、それでは[マルチチャネル]レポートに「メール」が現れません。
- Googleアナリティクスのセッションは、カスタムキャンペーンのパラメータの値が異なるたびに新しいセッションとなります。リンクごとのクリック数を計測するため、utm_contentパラメータを利用して異なった値を設定すると、異なるリンクがクリックされるたびに新しいセッションが始まります。例えば、同一のメールマガジンからリンクAをクリックし、サイトを1ページ見てからメールマガジンに戻り、別のリンクBをクリックしてサイトに戻った場合、セッション数は2となり、最初のセッションは直帰と見なされます。しかし、メールマガジンでこのような行動が取られるのは自然であり、セッション数は1、最初のセッションは直帰ではないとカウントしたほうが現実に即しています。そのため、筆者はutm_contentパラメータではなく独自のパラメータの利用をおすすめしています。
- 何らかの理由でutmパラメータを変更できない場合は、チャネルグループを作成して新しいチャネルを定義する方法を検討します(ワザ045、138を参照)。
メールマガジンの効果測定にはコツがあります。筆者のベストプラクティスを参考に、綿密に設計してください。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
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