113 ユーザーの分析
顧客生涯価値(LTV)の累積状況をチャネル別に見る
サイト全体だけでなく、チャネル別やキャンペーン別に、セッション数やコンバージョン率といったパフォーマンスを気にするWeb担当者の方は多いと思います。その姿勢は「自社サイトと関連性の高いトラフィックを獲得できているか?」という疑問の回答を、セッションという「短期的な」単位を通して得るという意味で、もちろん望ましいものです。
一方、自社のビジネスを「中期的に」考えると、「ユーザーがサイトを信頼してくれているか?」「必要な情報やほしい商品があるサイトだと思ってもらえているか?」も気になります。それらの回答は、ユーザーの再訪問や再購入といった行動にヒントがあるはずです。
そのような中期的なユーザーの訪問や購入を、初回訪問時のチャネルやメディア、参照元、キャンペーンに紐付けることで、ユーザーがもたらす価値を累積して確認できるのが[ライフタイムバリュー]レポートです。ライフタイムバリュー(Life Time Value)は「LTV」と略され、日本語では「顧客生涯価値」と表現されます。
ユーザー > ライフタイムバリュー
上記の例では、2017年4月1日~4月30日の間に初回訪問したユーザーの「ユーザーあたりの収益」が、90日間にわたってグラフ化されています。「0日目」、つまりユーザーの初回訪問を獲得した当日には、「ユーザーあたりの収益(LTV)」として$2.49を獲得できました。
累計なので指標の値は減ることがなく、右肩上がりで増え続けていきます。以下のように初回訪問から「14日目」を確認すると、ユーザーあたりの収益は$4.20まで増加していました。これは4月1日~30日に初回訪問したユーザーが、初回訪問の当日から14日目までに$1.71の追加の購入を行い、1人あたり$4.20の顧客生涯価値をもたらしてくれた、と解釈できます。
こうしたサイト全体の傾向を把握したら、今度はOrganic SearchとPaid Searchをグラフに表示し(ワザ143を参照)、2つの異なるチャネルでのLTVの積み上がりを確認しましょう。中期的に「どのチャネルを利用して初回訪問ユーザーを獲得するのが合理的か?」が見えてきます。
ポイント
- 集客の期間は「どの期間に初回訪問したユーザーを対象とするか?」で選択します。当月から4か月前遡った月の1日(例えば、当月が7月なら3月1日)から対象にできます。
- どのように期間を選択しても、確認できるLTVの期間は「初回訪問から90日間」となります。
- このレポートの指標には[ユーザーあたりの収益]のほか、[ユーザーあたりのセッション時間][ユーザーあたりのトランザクション数][ユーザーあたりのページビュー数][ユーザーあたりの目標の完了数]などに切り替えてグラフに表示できます。
- メディアサイトのようにLTVを金額で測定できないサイトでは、[ユーザーあたりのページビュー数]をLTVとして見なすといいでしょう。
ビジネスに中期的に影響するのは、「ユーザーがサイトを再訪問してくれるか?」「一度購入したユーザーが再購入してくれるか?」です。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
- 本書は2色刷のため、画面はグレースケールとなります。