115 ユーザーの分析
個別のユーザーにおける詳細なサイト利用状況を知る
Googleアナリティクスの登場以来、私たちが利用できるレポートは「複数のユーザーやセッションを束ねて、そのセグメントごとの振る舞いを可視化する」ものでした。例えば、スマートフォンでサイトを訪問したユーザー、自然検索でコンバージョンしたセッション、といった「複数の」ユーザーやセッションがまとまりになっており、「個別の」ユーザーではありません。
しかし、2016年4月ごろ、匿名状態の個別のユーザーについて、以下の情報を確認できる新しいレポート[ユーザーエクスプローラ]が追加されました。
- いつ、どのようなチャネルからユーザーの新規訪問を獲得したのか?
- そのユーザーが、どのページをどのような順序で閲覧し(あるいはイベントを発生させ)、いくらのどの商品を購入したのか?
- そのユーザーは初回訪問から現在までの累計で、何回のセッション、何分のセッション時間、何回のトランザクションや目標完了をもたらしたのか?
ユーザー > ユーザーエクスプローラ
[ユーザーエクスプローラ]レポートを表示すると、最初は上記の画面になります。ディメンション「クライアントID」は、個別のユーザー(ユニークなブラウザー)を識別するCookieの値をもとに生成されたものです。このクライアントIDごとに以下の指標が並んでいます。
- セッション(累計)
- 平均セッション時間
- 直帰率
- 収益(累計)
- トランザクション数(累計)
- コンバージョン率(通算)
これらの指標から気になるユーザーを見つけ、[ユーザーレポート]画面を表示すると、以下のようになります。そのユーザーのライフタイムバリュー系のデータを集約したスコアカードが上部に表示され、下部には詳細なサイト利用状況(セッション時間、ページビュー、イベント、トランザクション、目標完了)が時系列で並んでいます。
新しいデータが取れるレポートではありますが、すべてのユーザーの行動を確認するのは不可能ですし、確認したとしても、アクションにつながる知見を引き出すのは困難です。「収益のライフタイムバリューが高いユーザーには、どのようなサイト利用パターンがあるのだろうか?」といった仮説を持ったうえで、いくつかのユーザーの詳細なサイト利用状況を見て検証する、というのが、このレポートの現実的な利用方法となります。
ポイント
- このレポートとセグメントを組み合わせれば、「自然検索から初回訪問したユーザーは、その後サイト内でどのような行動をするのか?」「商品Aを購入したユーザーは、どのようなページ遷移によって購入に至ったのか?」といった疑問の回答を得られます。
ユーザーエクスプローラは、Googleアナリティクスのレポートの中で唯一「個別のユーザーのサイト利用状況」を表現してくれます。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
- 本書は2色刷のため、画面はグレースケールとなります。