129 サイト内行動の分析
Google AdSenseの指標をメディアサイトの収益増に生かす
多くのメディアサイトで導入されているGoogle AdSenseの指標は、通常、AdSenseの管理画面で見ることになります。これをGoogleアナリティクスのアカウントとリンクすれば、収益の概算値や広告のクリック率、インプレッション数などを[サイト運営者]配下のレポートなどで捕捉可能です。特に見ておきたい指標は以下の通りで、いずれもAdSenseの管理画面では確認できず、Googleアナリティクスとリンクすることで把握できるようになります。
サイト運営者の一致率
広告を配置したページが表示されると、HTMLソースに挿入したAdSenseのタグが広告配信をリクエストしますが、そのリクエストに対して少なくとも1つの広告が配信された率です。この値が低い場合、ページビューが収益に貢献しないことを意味するため、どのページが低いかを確認し、対応する必要があります。以下の[サイト運営者のページ]レポートなどで見られます。
行動 > サイト運営者 > サイト運営者のページ
サイト運営者のeCPM
eCPMは「effective Cost Per Mille」の略で、1,000インプレッションあたりの広告収益を指します。この値が高いページは収益を上げやすいページと判断できるため、ページの特徴を分析することで、広告の配置やコンテンツの増強方針を合理的に決定できるでしょう。なお、AdSenseの管理画面などで見られる「RPM」は、eCPMと同じ意味の指標です。
サイト運営者の視認範囲のインプレッション率
広告がAdSenseのサーバーから配信され、インプレッションがあった総数のうち、ユーザーに視認される範囲でのインプレッションの率です。この値が低いページは、ページの下部にある広告(AdSenseモジュール)がユーザーのブラウザーに表示されていないことを意味します。ページ内に目次や中見出しを付けるなど、スクロールを促進させる工夫が必要になります。
チャネルやランディングページごとの[AdSense]指標グループ
アカウントのリンクにより、[ユーザー]メニューの[地域]配下、[集客]メニューの[すべてのトラフィック]配下、[行動]メニューの[サイトコンテンツ]→[ランディングページ]レポートなどに、AdSenseの指標グループが追加されます。以下は[チャネル]レポートの指標グループを切り替えたところですが、「どのチャネルからのトラフィックが広告をクリックしやすいのか?」などがわかります。また、セカンダリディメンションにランディングページを追加すれば、チャネル×ランディングページの粒度で「効率よく広告収益を上げるには、どのトラフィックを増やすのが有効か?」を理解できます。
集客 > すべてのトラフィック > チャネル
ポイント
- ここで解説したレポートを利用するには、[管理]画面の[AdSenseのリンク設定]でAdSenseのアカウントとのリンクを行っておく必要があります(ワザ059を参照)。
- 本書執筆時点では、GoogleアナリティクスでのAdSenseの収益額はドル($)で表示されます。
- AdSenseの指標を第三者に公表することは、AdSenseのポリシー違反に該当します。
ページビュー数とAdSenseの収益は単純に比例しないこともあります。収益に貢献している意外なページが見つかるかもしれません。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
- 本書は2色刷のため、画面はグレースケールとなります。