131 コンバージョンの分析
コンバージョンの価値から施策ごとのROIを把握する
さまざまな施策を実施してコンバージョンの獲得・増加を目指すとき、効率のいい施策に対して予算(費用)を重点的に配分したほうが、より高いリターンを得られます。複数の施策のうち、どれが効率よくリターンを獲得できたかを示す指標には「ROI」(投資収益率)がよく知られており、以下の式で求められます。
ROI=(施策から発生した売り上げ−商品やサービスの原価−施策の費用)÷施策の費用
※粗利ベースの場合
例えば、100万円を投じた広告施策から200万円の売り上げが発生し、その売り上げをもたらした商品の原価が60万円であった場合、ROIは(200−60−100)÷100=40%となります。
このような計算は明示的な売り上げがあるECサイトでは考えやすいですが、リードジェネレーションサイトではコンバージョンが問い合わせや資料請求、メールマガジンの登録となり、直接的な売り上げが伴わないため、ROIを明確化しにくいという問題があります。例えば、あるリードジェネレーションサイトで以下のような施策とコンバージョンがあったとします。
施策A
20万円を投じた結果、資料請求5件とメールマガジン登録10件のコンバージョンがあった。
施策B
15万円を投じた結果、資料請求6件とメールマガジン登録2件のコンバージョンがあった。
どちらの施策に予算を投じるべきか、判断が難しいところです。しかし、この問題は目標(コンバージョン)に金銭的な価値を与えることで解決できます。
管理 > 目標
仮に、資料請求の目標値を3万円、メールマガジン登録の目標値を1万円に設定したとします。目標値は目標1件ごとの売り上げと見なすことができ、それぞれの施策のROIが明確化されます。以下のように計算した結果、効率の観点からは施策Bが優れていたと判断できます。
施策AのROI=25%
20万円を投じて資料請求3万円×5件、メールマガジン登録1万円×10件、合計25万円の売り上げ。原価は0円と見なすと(25−0−20)÷20=25%となる。
施策BのROI=33.3%
15万円を投じて資料請求3万円×6件、メールマガジン登録1万円×2件、合計20万円の売り上げ。原価は0円と見なすと(20−0−15)÷15=33.3%となる。
達成された目標値がいくらであったかは、[コンバージョン]メニューの[目標]配下にあるレポートで確認できます。いずれのレポートも、標準ではすべての目標で達成された目標値の合計が表示されますが、[目標のオプション]から個別の目標に切り替えられます。
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ポイント
- 実際に施策ごとのROIを把握するには、それぞれの施策にかかった費用の捕捉が必要です。ワザ239で解説する「データインポート」もあわせて活用しましょう。
リードジェネレーションサイトなどでは、コンバージョンの金銭的な価値を目標値として設定しておくことが効果測定の大前提となります。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
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