153 機械学習の活用
機械学習に基づく提案から気付きにくい異常値を知る
iOS/Androidアプリの[ホーム]の右上には、「アナリティクスインテリジェンス」のアイコンがあります。本書執筆時点では英語表記となりますが、機械学習に基づいて、Web担当者にとって有用な「インサイト」(=知見)を提供する機能です。例えば、参照元ごとのトラフィックやページの表示速度、先週と先々週を比較したパフォーマンスの変化などが報告されます。
この機能は2017年7月ごろから、パソコンのブラウザーで利用するGoogleアナリティクスにも徐々に登場し始めています。画面上部のアクションバーの右端に[インテリジェンス]が追加され、筆者の環境では、実際に次のページにあるインサイトを確認できました。もっとも興味深いと感じたインサイト「One landing page had a 58% rise in pageviews on August 1」を開いてみると、ページビュー数が大きく増加したページと、そのページビュー数、増加率がまとまっています。
インサイトの下にある「Recommendations」には、アクションの提案も記載されています。次のページの例では「キャンペーンを利用し、このページに直接トラフィックを誘導してはどうか?」「ほかのコンテンツを宣伝するために、このページを利用してはどうか?」とあり、サイト改善のヒントとなりそうです。
人間では気付きにくい変化を教えてくれることもあるので、アナリティクスインテリジェンスは定期的に確認するのが望ましいと言えます。ただ、現時点では、Web担当者がサイト改善にあたって本当に役立つインサイトが得られるかというと、まだ弱いように感じます。
アナリティクスインテリジェンスは機械学習を利用するため、Googleは「世界中のサイトの個々のビジネスとニーズを学習することで、時間が経つにつれ性能が向上していく」としています。「こんなものか」と軽々しく判断せず、役に立ったかどうかのフィードバックをして機能の改善に協力していきましょう。
ポイント
- 機械学習とは、大量のデータを反復的に解析・学習することで規則性や関係性を見つけ出す手法のことです。コンピュータが自ら学ぶ仕組みでもあり、人工知能と深い関係があります。
- インテリジェンスには、自然文で質問できる機能も用意されています。本書執筆時点では英語のみですが、試しに「 What page had the highest bounce rate last week that had more than 100 sessions?」(先週、100セッションを超えるページでもっとも直帰率が高かったページはどれか?)と質問してみると、適切な回答を得ることができました。
現時点ではまだまだのインテリジェンスですが、中期的には、プロのWeb解析コンサルタントを脅かす存在になるように感じています。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
- 本書は2色刷のため、画面はグレースケールとなります。