185 成果改善の考え方
EC/リードジェネレーションサイトのKGIとKPIを適切に設定する
筆者が行っているコンサルティング業務の1つに、サイトごとの「KPI」の設定支援があります。サイト運営においてはKPIと似た用語として「KGI」がありますが、以下が両者の定義です。
KGI(Key Goal Indicator)
サイトの目標そのものとなる定量的な指標を指します。「重要目標達成指標」とも呼びます。
KPI(Key Performance Indicator)
サイトの目標の達成度を表すうえで重要となる定量的な指標を指します。「重要業績評価指標」とも呼びます。
KGIはサイトの目的を端的に表すため、ECサイトでは売上額、リードジェネレーションサイトではリード獲得数というように、比較的簡単に設定できます。
一方、KGIに直結するKPIは何かと考えると、悩んでしまう方が多いようです。ここで紹介したいのが、「KPIはKGIを因数分解し、構成要素を取り出して策定する」という考え方です。例えば、ECサイトのKGIは以下のように因数分解できます。
ECサイトのKGIを因数分解すると......
売上額=セッション数×(1−直帰率)×商品詳細ページ到達率×カート投入率×カート完遂率×注文単価
こうして見ると、セッション数を増加させ、直帰率を下げ、商品詳細ページにより多く到達させ、カートへの投入頻度を高くし、脱落なくカート完遂が起こり、注文単価が大きければ売上額が増える、ということが明確になります。これらのそれぞれがKPIになりえる、ということです。同様に、リードジェネレーションサイトのKGIを因数分解したのが以下の式です。
リードジェネレーションサイトのKGIを因数分解すると......
リード獲得数=セッション数×(1−直帰率)×資料請求ページ到達率×フォーム完遂率
売上額もリード獲得数も、Web担当者側のアクションによって直接影響を及ぼすことはできません。しかし、それらのKGIから因数分解したKPIなら、Web担当者が実行する施策によって向上させることができます。これが、サイト全体の成果を改善していく基盤となる考え方です。
ポイント
- KPIの成立要件は、①計測可能なこと、②KGIと連動していること(KPIが良くなればKGIも良くなること)、③自社の努力で影響を及ぼせること、の3点です。KPIとして適切かどうか悩んだ場合は、この3点を満たしていることを確認しましょう。
サイト全体の成果を改善していくうえでは、KGIとKPIの設定が前提となります。特に、施策によって影響を与えられるKPIが重要です。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
- 本書は2色刷のため、画面はグレースケールとなります。