186 成果改善の考え方
メディアサイトにおけるKGIの設定方法を考える
メディアサイトはECサイトやリードジェネレーションサイトと異なり、KGIを設定しにくい側面があります。多くのメディアサイトでは広告モデルが想定されていますが、その場合は広告収益額をKGIとして設定し、以下のようにKPIを求められます。
メディアサイト(広告モデル)のKGIを因数分解すると......
広告収益額=ユーザー数×セッション/ユーザー×ページ/セッション×ページあたりの平均広告掲載数×平均Viewable Impression率×広告クリック率×広告クリック単価
やや複雑な式ですが、これが広告収益額の正確な因数分解です。広告モデルでは収益の源泉がページビュー数となりますが、「ページビュー数=セッション数×ページ/セッション」かつ「セッション数=ユーザー数×セッション/ユーザー」と分けて考えます。仮にユーザー数が一定でも、ユーザーが頻度高くセッションをもたらし、1セッションで閲覧するページビュー数が増えれば広告収益は増加するわけで、セッション/ユーザーやページ/セッションがKPIになりえます。
「Viewable Impression」(ビューアブル・インプレッション)は、日本語では「視認範囲のインプレッション」と呼ばれます。Google AdWordsの定義では「広告の面積の50%以上が、ディスプレイ広告では1秒以上、動画広告では2秒以上、ユーザーのブラウザーで表示されたとき」にViewable Impressionが発生します。Viewable Impressionをページビュー数で割った指標が「Viewable Impression率」です。
「ページあたりの平均広告掲載数×平均Viewable Impression率」の部分は、広告をページにたくさん掲載するだけではだめで、Viewable Impressionが十分に確保できないと収益にはつながらない、ということを示しています。
ポイント
- メディアサイトのKPIとしては、記事ページへのランディング数も挙げられます。時流にあった記事の掲載や、SEOの出来不出来と相関があります。
- ユーザーサポートを目的としたサイトでは、「ユーザーの理想的な振る舞いが発生した件数」をKGIとするアプローチが有効です。例えば、ユーザーがFAQの回答が記述してあるページ(=もっとも詳細なページ)に到達した回数や、そのページで[役に立った]ボタンをクリックした回数などが挙げられます。こうしたKGIを因数分解すると、FAQ回答ページへの到達率、滞在時間、離脱率などがKPIの候補として考えられます。
メディアサイトでは単にページビュー数をKPIにするのではなく、「ページ/セッション」のようなエンゲージメント系の目標をKPIとして設定しましょう。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
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