193 集客の施策
ディスプレイ広告の隠れた貢献度を評価する
リスティング広告やディスプレイ広告の効果を表す指標にCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)があります。広告経由でサイトを訪問したユーザーが商品の購入や資料請求をしたとき、そのコンバージョン1件あたりに、いくらの広告費がかかったかを端的に表します。CPAは低いほうが望ましい指標ですが、リスティング広告とディスプレイ広告でCPAを比較した場合、以下のような理由からディスプレイ広告のほうが高くなる傾向があります。
リスティング広告
検索キーワード(=ユーザーの欲求が顕在化し、明示されたもの)と連動しているため、商品にすでに関心があるターゲットに広告が届く。そのため、コンバージョンにつながるラストクリックになりやすい。
ディスプレイ広告
メディアサイトやブログに掲載されるため、幅広いターゲットにリーチできる。ただし、ユーザーは広告に接触した時点では、商品やサービスを能動的に探していたわけではないため、コンバージョンのラストクリックにはなりにくい。
よって、ディスプレイ広告の本当の効果は、[アシストコンバージョン]レポートから慎重に読み取るべきです。このレポートでは、MCFチャネルグループの各チャネルの役割を以下の3つに分類します。
- 起点:コンバージョン経路内の最初の経路(ファーストクリック)
- 中間:コンバージョン経路内の、終点以外のすべての経路(アシスト)
- 終点:コンバージョンの直前に発生した経路(ラストクリック)
また、各チャネルの貢献度を評価するための指標として、以下の3つを表示します。レポートの内容は指標グループによって異なり、[アシストの接点の分析]グループでは①③、[起点の分析]グループでは②③が表示されます。
①ファーストクリックによるコンバージョン
そのチャネルが起点として関わったコンバージョン数。経路が1つの場合、終点のチャネルにもこのコンバージョンが紐付く。
②アシストコンバージョン
そのチャネルが中間として関わったコンバージョン数。経路が1つの場合はカウントされない。経路が2つの場合、起点のチャネルにもこのコンバージョンが紐付く。
③ラストクリックまたは直接のコンバージョン
そのチャネルが終点として関わったコンバージョン数。
[アシストコンバージョン]レポートの性格として、経路の数によって①②の指標がカバーする範囲が変わる点に注意が必要です。これをわかりやすくするには以下のようなコンバージョンセグメントを作成し、経路の数が1つ、2つ、3つ以上で分けて捕捉できるようにします。
この3つのセグメントを適用したうえで[アシストの接点の分析][起点の分析]の指標グループを表示し、「ディスプレイ」の各指標を確認すると、ディスプレイ広告が経路となった本当のコンバージョン数を取り出せます。ディスプレイ広告がどのような接点においてコンバージョンに貢献しているか、その全体像が明らかになるでしょう。
コンバージョン > マルチチャネル > アシストコンバージョン
ディスプレイ広告のCPAの高さが気になる場合は、[アシストコンバージョン]レポートに経路の数ごとのセグメントを適用して分析を行います。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
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