204 サイト改修の施策
最適な訪問経路やコンテンツの見せ方を検証する
カスタムセグメントの作成時に表示される[シーケンス]は、ユーザーがサイトを訪問したり、コンテンツを閲覧したりした順序に基づくもので、セグメントの中でも高度な設定です。Web解析では「どのページを見てから、どのページに遷移するとコンバージョン率が高まるのか?」というユーザーのサイト内導線に関するニーズがありますが、仮説がしっかりあれば、シーケンスのセグメントを使って検証できます。注意点は以下の通りです。
[セッション]ベースと[ユーザー]ベースの違い
[シーケンス]は[条件]の設定と同じく、[セッション]ベースと[ユーザー]ベースの両方に対応しています。シーケンスで設定する順序通りのユーザーの振る舞いが、同一セッションの中で起きることを指定するならば[セッション]、複数セッションをまたがって起きることを指定するならば[ユーザー]を選択します。
例えば、一致するメディアとしてステップ1が「cpc」(リスティング広告)、ステップ2が「organic」(自然検索)というセグメントをセッションベースで作成すると、0になります。同一セッションの中で、cpcでもorganicでも訪問することはありえないからです。しかし、同じ設定をユーザーベースで作成すると、cpcで訪問したあとに、別の訪問をorganicで始めたユーザーに一致するようになり、十分にありえるセグメントとなります。
[シーケンスの開始]の[すべての接点]と[最初の通過地点]の違い
[シーケンスの開始]というプルダウンメニューでは、[すべての接点]と[最初の通過地点]を選択できます。例えば、ステップ1がcpc、ステップ2がorganicというセグメントをユーザーベースで作成し、[すべての接点]を選択すると、以下のような順序で各メディアを利用してサイトを訪問したユーザーがセグメントに含まれます。
- socialからの訪問→cpcからの訪問→organicからの訪問
一方、[最初の通過地点]を選択すると、最初がcpcであることが条件となり、含まれなくなります。
ステップ間の[の次のステップは]と[の直後のステップは]の違い
ステップを追加すると、その間の設定として2つの選択肢が用意されます。ステップ1がcpc、ステップ2がorganicというセグメントをユーザーベースで作成し、[の次のステップは]を選択すると、以下のような順序で各メディアを利用したユーザーがセグメントに含まれます。
- cpcからの訪問→socialからの訪問→organicからの訪問
一方、[の直後のステップは]を選択すると、cpcとorganicは連続していることが条件となり、含まれなくなります。
ここではメディアを例にしましたが、ページやページタイトルのシーケンスに基づいたカスタムセグメントを作成するのも有効です。以下のように特定のコンテンツを見た順序によってコンバージョン率に差があるかを比較でき、サイト内導線の設計・最適化の参考になります。
- 「チュートリアル→デモ」の順に閲覧したセグメントと、その逆順
- 「ソファの選び方→ソファのセール情報」の順に閲覧したセグメントと、その逆順
ポイント
- シーケンスに基づくセグメントは、カスタマージャーニーやユーザーシナリオについて「仮説」や「問題意識」がないと、作成してもあまり意味がありません。シナリオをしっかりと立案し、それを検証するために利用するのが効果的です。
ユーザーの行動順序がコンバージョンに影響を与えていると予測できる場合は、シーケンスに基づくセグメントを作成することで検証できます。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
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