227 データの深掘り
アトリビューションモデルで各チャネルの貢献度を比較する
コンバージョン経路にある各チャネルを評価するためのレポートとしては、[アトリビューション]配下にある[モデル比較ツール]も利用できます。「アトリビューション」は「帰属」といった意味で、コンバージョンが何に帰属するのか(何がコンバージョンに貢献しているのか)を明らかにしていく分析手法を「アトリビューション分析」と呼びます。
コンバージョンに直接つながったチャネルだけでなく、それ以前のチャネルの間接効果も含めて評価するという点で、ワザ136で解説した[マルチチャネル]配下のレポートもアトリビューション分析と似た側面があります。それらではコンバージョン経路でどのチャネルが、どのような順序で、どれだけ関わったかを分析しますが、[モデル比較ツール]レポートでは以下のような流れで分析を行います。
- コンバージョン経路にあるチャネル(MCFチャネルグループ)や参照元/メディアなどを「接点」として規定する。
- サイト内で発生したコンバージョンの価値をどの接点に割り振るかを「モデル」(アトリビューションモデル)として定義する。あらかじめ用意された7種類のモデルのほか、自分で定義したカスタムモデルを作成できる。
- 最大3つまでのモデルを選択し、モデルによって各接点の価値にどのような差があるかを比較する。それにより、各接点の施策にどのような予算配分をするのが最適かを判断する。
コンバージョン > アトリビューション > モデル比較ツール
7種類のモデルの意味は下の表の通りです。初めてこのレポートを使うときは、ラストクリックベースで評価する[終点]または[最後の間接クリック]が標準的なモデルとなるため、そのいずれかを選択したうえで、ほかのモデルを選択してみるといいでしょう。
例えば、商品力に絶対的な自信があり、「1度でもサイトを訪問すればユーザーは商品を購入してくれる」という場合は、[起点]モデルを採用し、新規訪問を獲得した接点を高く評価するのが妥当です。一方、「何度も訪問するうちに良さがわかってくる商品なので、ユーザーとの接触を持ち続けることが重要」という場合は、[線形]モデルを採用し、すべての接点に均一の評価を与えるのがいいでしょう。
このように商品の性質、またはユーザーが購入するまでの典型的な振る舞いを考慮したうえで、採用するアトリビューションモデルを決定できれば、そのモデルにおいてCPAが高い施策から低い施策に予算をシフトするのが合理的だと判断できます。
[モデル比較ツール]レポートのアトリビューションモデル
モデル名 | 説明 |
---|---|
終点 | コンバージョンに至る前、最後に経由した接点にすべての価値を与える。通常のラストクリックベースの評価に、ノーリファラーを加えた評価モデルとも言える。 |
最後の間接クリック | コンバージョンに至る前、最後に経由した接点にすべての価値を与える。ただし、ノーリファラー(ダイレクトトラフィック)は無視する。 |
AdWords(現:Google広告)広告のラストクリック | コンバージョンに至る前、最後に経由したGoogle AdWordsの広告にすべての価値を与える。AdWordsの施策を重視し、今後の運用方針を検討している場合、このモデルでの評価が適している。 |
起点 | コンバージョンに至る前、最初に経由した接点にすべての価値を与える。新規訪問の獲得や初期のブランド認知を目的とした施策を行っている場合、このモデルでの評価が適している。 |
線形 | コンバージョンに至るまでに経由したすべての接点に均一の価値を与える。ユーザーとの接触を維持し続けることを目的とした施策を行っている場合、このモデルでの評価が適している。 |
減衰 | コンバージョンに至るまでに経由した接点のうち、最後に近い接点ほど高い価値を与える。標準では7日間の半減期が設定されており、コンバージョン発生の7日前に経由した接点には、最後に経由した接点の半分の価値が与えられる。数日程度でコンバージョンを得ることを目的とした施策の場合、このモデルでの評価が適している。 |
接点ベース | コンバージョンに至るまでに経由した接点のうち、最初と最後のチャネルに高い価値を与える。ブランドを認知させた起点と、実際にコンバージョンした終点を高く評価したい場合に適している。 |
ポイント
- [モデル比較ツール]レポートの対象となるコンバージョンは、画面左上にある[コンバージョン]からトランザクションや特定の目標に絞り込めます。
[モデル比較ツール]レポートは、「ラストクリックの接点だけを高く評価するのでは実態を反映しない」という問題意識に応えてくれます。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
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