228 データの深掘り
デバイスが異なっても同一のユーザーとして捕捉する
Googleアナリティクスをはじめ、解析ツールの多くはCookieによってユーザーを識別しているため、Cookieが異なれば同じユーザーでも解析上は別のユーザーとなります。従って、同じユーザーがパソコンとスマートフォンを使ってアクセスしたり、複数のブラウザーからサイトにアクセスしたりすれば、別のユーザーとして重複カウントされることになります。
しかし、1人のユーザーが複数のデバイスやブラウザーでサイトを訪問することは、最近では当たり前になっています。デバイスやブラウザーが異なっても同一のユーザーとして捕捉できれば、より精緻な分析やターゲティングが行えるはずです。
この問題の解決策となるのが、Googleアナリティクスが用意する「User ID」機能を利用したトラッキングです。サイトにログイン機能があり、それぞれの会員に個別のIDが付与されていることが前提になりますが、同一のユーザーの重複カウントをなくした「クロスデバイストラッキング」が可能になります。設定は以下の方法で行います。
管理 > トラッキング情報 > User-ID
1User-ID機能を有効にする
2トラッキングコードを取得する
3User-IDビューを作成する
前のページにある手順2で取得したトラッキングコードは、標準のトラッキングコードの以下の部分に追加します。サイトのログイン機能で付与している個別のIDを動的に書き出すため、社内のシステム部門に相談したうえで、サイトのシステムを改修する必要があります。
5:setコマンド。USER_IDにはサイトのシステムから個別のIDを書き出し、その値をGoogleアナリティクスのUser-IDとして設定する。USER-IDはセッション中に1回送信すればいいわけではなく、ユーザーを特定できたすべてのヒットで送信する必要がある
User-IDに基づくトラッキングは専用のビューで行うため、手順3以降の作業としてビューを作成します。そのビューにはUser-IDが取得できたセッションしか含まれないため、通常のCookieに基づくトラッキングは既存のビューで確認しましょう。
ポイント
- ユーザーを特定できる情報をGoogleアナリティクスに送信することは、利用規約で禁じられています。そのため、送信するIDは個人を識別できないものであるべきで、メールアドレスなどは不適切です。
- IDが不明であったユーザーがログインにより判明した場合、User-ID専用のビューに反映されるのはログイン以降のセッションになります。それ以前のセッションは反映されません。
IDの捕捉率が高まらないと、クロスデバイスでのサイト利用状況の全体像を可視化するまでには至りませんが、今後の発展に期待したい機能です。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
- 本書は2色刷のため、画面はグレースケールとなります。