235 タグマネージャの応用

平均されていない真のサイト滞在時間などを取得する

Googleアナリティクスには、直帰率、新規セッション率、ページ/セッション、平均セッション時間、コンバージョン率といった平均で求める指標があります。直帰率、新規セッション率、コンバージョン率は問題ありませんが、ページ/セッション平均セッション時間については、平均値が必ずしも代表値ではない場合があります。特定のセッションが非常に多くのページを閲覧したり、サイトに長く滞在したりすることによる特異値に引きずられてしまうからです。

自社サイトを代表する値がどれなのかは、ヒストグラムを描いて中央値や最頻値を求めるのが最適ですが、Googleアナリティクスにはその機能がありません。しかし、カスタムディメンションとGoogleタグマネージャによって1セッションごとのページビュー数やセッション時間を個別に取得すれば、Excelなどで分析するためのデータとして利用できます。

カスタムディメンションを作成する

Googleアナリティクスで[範囲](スコープ)を[ユーザー]としたカスタムディメンションを作成します。ここでは例として、カスタムディメンションの名前を「ユーザーID」とし、インデックスには「1」が割り当てられたとします。

ファーストパーティCookieの変数を作成する

Googleタグマネージャで、種類が[ファーストパーティCookie]のユーザー定義変数を作成します。Cookie名を「_ga」とし、Googleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)のCookieである「_ga」の値が格納されるようにします。ここでは変数名を「Cookie_ga」と付けたものとします。ワザ232を実施済みなら、そこで作成した変数「Cookie_ga」を流用できます。

平均されていない真のサイト滞在時間などを取得する - できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版

設定内容

変数の種類ファーストパーティCookie
Cookie名_ga

基本ページビュータグの設定を変更する

ワザ017で解説したGoogleアナリティクスの基本ページビュータグを編集し、カスタムディメンションの設定を追加します。前述の変数「Cookie_ga」の値を、作成したカスタムディメンション「ユーザーID」に格納し、個別のユーザーを識別できるようにします。以下の設定内容には、変更箇所のみを記載しています。

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設定内容

オーバーライド設定を有効
カスタムディメンション
インデックス 1
ディメンションの値 Cookie_ga(作成した変数)

カスタムレポートを作成する

以上のタグを公開したうえで、Googleアナリティクスで次のページのようなカスタムレポートを作成します。「クッキー_ga」はユーザーを識別し、セッション数(既訪問回数)は何回目の訪問だったかを表すので、この2つのディメンションの組み合わせは「セッションをユニークに特定する値」となります。従って、各項目のセッション数はすべて「1」となります。

このレポートをエクスポートしてExcelなどで加工すれば、個別のセッションのページビュー数や滞在時間に基づくヒストグラムを作成したり、中央値や最頻値を計算したりできます。

カスタムレポートの設定内容

要素名内容
種類フラットテーブル
ディメンションタイムスタンプ ※カスタムディメンションとして作成
セッション数
指標セッション
ページビュー数
セッション時間

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ポイント

  • Excelで中央値を求めるにはMEDIAN関数、最頻値を求めるにはMODE.SNGL関数やMODE.MULT関数を使います。
  • 分析例として、ここで解説したカスタムレポートから取得したデータをTableauでビジュアライズした画面を以下に紹介します。パソコンの新規ユーザーにおいて、Googleアナリティクスで確認できる平均サイト滞在時間は56秒でしたが、ユニーク化したセッションでグラフを作成すると、数多くの0秒セッション(=直帰)があることを理解できます。こうしたケースでは平均値が代表値とは言えないため、注意が必要です。

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個別のセッションについてのページビュー数や滞在時間を取得できたら、Excelなどを使って特異値に引きずられない代表値を求めてみましょう。