171 データスタジオとの連携
データスタジオならではのレポートの表現方法を知る
Googleデータスタジオ(現:Googleデータポータル)は多様な表現力を持ちますが、Googleアナリティクスと同じようなグラフを作成するのでは、別のツールを使う意味がありません。ここではGoogleアナリティクスのデータを使った、データスタジオならではのビジュアライズを3つ紹介します。
「進捗と着地点」を同時に確認できる累計の折れ線グラフ
ビジネスには「今月の売上目標は○百万円」など、時間軸に沿った数値の目標があるのが一般的です。すると、Web担当者には「今月は現状のペースで目標を達成できるだろうか?」という考えが浮かびます。もし現状のペースでは達成できないことが月の途中でわかれば、上司や同僚と追加の施策を検討し、ペースを上向かせるための工夫ができるでしょう。
以下のグラフは横軸に月の日数、縦軸に収益をとり、線を月ごとに分割して描いたものです。収益は「累計」で集計しているため、減少することはなく、その月の進捗を表すことになります。この例では2017年7月(20日目の時点で中間の線)、8月(上の線)、9月(下の線)の3か月分を描いていますが、9月は先月、先々月の収益を大きく下回っており、追加の施策が急務であることが理解できます。
このような累計のビジュアライズはGoogleアナリティクスではできず、データスタジオならではの表現です。作成方法としては、ワザ170で解説したグラフと同じく[期間]を選択し、ディメンションと指標を設定したうえで、指標を[累計]で表現していきます。
グラフの設定内容
要素名 | 内容 |
---|---|
グラフの種類 | 期間 |
時間ディメンション | 日(月間) |
内訳ディメンション | 月(年間) |
指標 | 収益 |
フィルタ | なし |
レポート期間 | 直近3か月 など |
初回訪問獲得の効率の良さをチャネル別に比較する表
Googleアナリティクスには用意されていないものの、データスタジオにはあるディメンションとして「集客チャネル」「集客参照元」「集客メディア」などがあります。
公式ヘルプには記載がありませんが、データソース上の英語の説明が「USER_ACQUISITION_MEDIUM」などとなっており、筆者の検証でも、これらは「ユーザーを初回に獲得したときの参照元、メディア、チャネル」を意味していると考えられます。
以下は集客チャネルごとに3つの指標をプロットした表で、レポート期間を今月に設定しています。意味としては「(獲得時期は問わず)新規にユーザーを獲得したチャネルごとの今月のパフォーマンス」となり、この例では、初回訪問ユーザーはチャネル「Referral」から獲得するのがもっとも効率が良いことを示しています。
グラフの設定内容
要素名 | 内容 |
---|---|
グラフの種類 | 表 |
ディメンション | 集客チャネル |
指標1 | セッション |
指標2 | 収益 |
指標3 | 1回のセッションあたりの値 |
フィルタ | なし |
レポート期間 | 今月 など |
ページを多角的に評価するバブルチャート
サイト内のページの評価基準には、以下のような指標が考えられます。
- たくさん見られているか?(ページビュー数、ページ別訪問数)
- じっくり見られているか?(平均ページ滞在時間)
- サイト訪問時の入口ページとなっているか?(閲覧開始数)
- 直帰されていないか?(直帰率)
- コンバージョンに貢献しているか?(ページの価値)
こうした指標の関係性を散布図(バブルチャート)で表すことにより、「コンバージョンには貢献しているが、ほとんど見られていないページ」や、「ランディングページにはなっているが、直帰率が高いページ」などをあぶり出すことができます。
以下は横軸(指標X)にページ別訪問数、縦軸(指標Y)にページの価値をとってページをプロットしたうえで、バブルのサイズを直帰数で表しています。右下にあるひときわ大きなバブルは、ページ別訪問数が多いにもかかわらず、ほとんどコンバージョンに貢献していないページを示しており、まずは直帰数を減らすことがこのページの課題と言えるでしょう。
グラフの設定内容
要素名 | 内容 |
---|---|
グラフの種類 | ページ |
ディメンション | 集客チャネル |
指標X | ページ別訪問数 |
指標Y | ページの価値 |
バブルのサイズ | 直帰数 |
フィルタ | ページの価値 <=400 AND ページ別訪問数 <=8000 など |
レポート期間 | 過去30日間 など |
データスタジオを使えば、Googleアナリティクスではできないビジュアライズ表現が可能になります。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
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