255 トラッキングの不具合
コンバージョンの参照元がほとんど自社ドメインになる原因を知る
どの参照元からの訪問がコンバージョンにつながっているのかを確認したら、ほとんどが自社ドメイン、または関連サイトのドメインだった、ということがあります。これでは「成果と施策の紐付け」がまったくできません。原因としては、クロスドメイントラッキングを設定すべきなのにしていない、または失敗していることが考えられます。ワザ070と同じく「impress.co.jp」(本体ドメイン)と「cart.dekiru.net」(カートドメイン)を例に説明しましょう。
①ユーザーは多様な参照元からimpress.co.jpを訪問する。cart.dekiru.netはカートシステムのみで何もコンテンツがないため、cart.dekiru.netを直接訪問するユーザーはいない。
②ユーザーはimpress.co.jpにある商品詳細ページで商品をカートに入れ、cart.dekiru.netに移動して決済を行う。
2つのサイトでこのようなユーザー導線が描かれるなら、クロスドメイントラッキングを設定すべきです。設定に成功している場合は、①の時点で持っている参照元の情報が②に引き継がれます。もし①の訪問がリスティング広告によるものなら、②のコンバージョンもリスティング広告に紐付きます。しかし、クロスドメイントラッキングを設定していないか、失敗している場合は引き継がれず、②の時点の参照元はすべてimpress.co.jpになります。
ポイント
- クロスドメイントラッキングが成功しているかどうかは、クロスドメイン元(上記の例ではimpress.co.jp)のCookie「_ga」の値が、クロスドメイン先(上記の例ではcart.dekiru.net)に渡されているかどうかで確認できます。簡易的には、cart.dekiru.netに遷移したときに、ブラウザーのアドレスバーに「_ga=XXXXXXXXXXX」というパラメータが付与されていることで確認できます。
- cart.dekiru.netでの決済完了後、ユーザーを強制的にリダイレクトし、サンキューページはimpress.co.jpドメインで表示するケースもあります。このとき、次の2点が満たされていれば、クロスドメイントラッキングを行わなくても参照元が上書きされることはありません。ただ、ECサイトでは「何が、いくつ、いくらで売れたのか」のEC三要素はカートドメインでしか取得できない場合が多いため、クロスドメイントラッキングを行うのが基本です。
- cart.dekiru.netについて参照元の除外が設定されている
- cart.dekiru.netドメインの滞在時間が30分以内である
こうしたケースで表れる参照元は、外部ASPや自社決済システムのドメインが多いため、すぐに気付くはずです。最優先で対応しましょう。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
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