093 重要な分析軸
「チャネル」を正しく理解する
「チャネル」はディメンションの1つで、ユーザーの訪問経路の種類を表します。Googleアナリティクスにおいてトラフィック、つまり「ユーザーがどこからサイトを訪問したか?」を表す最上位の概念です。
ワザ045では、このチャネルの集まりを表す標準的なグループ「Default Channel Grouping」について解説しましたが、Googleアナリティクスにおけるチャネルグループは、ほかにも存在します。チャネルの分類の全体像について、ここで理解してください。
標準で用意されているチャネルグループ
Googleアナリティクスに最初から存在するチャネルグループには、以下の2種類があります。
Default Channel Grouping
Googleアナリティクスが規定する「システム定義」に基づくチャネルグループが、このDefault Channel Grouping(デフォルトチャネルグループ)です。[集客]メニューの[すべてのトラフィック]→[チャネル]レポートにおける標準のディメンションであり、セグメントの条件やカスタムレポート、マイレポート、APIで利用できる唯一のチャネルです。
集客 > すべてのトラフィック > チャネル
Default Channel Groupingは、次のページにある9種類のチャネルに分類されます。ただ、各チャネルの定義はいずれも「システム定義のチャネル 一致 ○○」になっており、実際にどのようなトラフィックがどのチャネルに分類されるのか、わかりにくいところがあります。
Default Channel Groupingのチャネル
チャネル名 | 説明/定義 |
---|---|
Direct | URLの直接入力やブックマーク、アプリなどからの訪問(ダイレクトトラフィック)。 システム定義のチャネル 一致 ノーリファラー |
Organic Search | 自然検索からの訪問。 システム定義のチャネル 一致 オーガニック検索 |
Social | ソーシャルメディアからの訪問。 システム定義のチャネル 一致 ソーシャル |
メールからの訪問。 システム定義のチャネル 一致 メール | |
Affiliates | アフィリエイトからの訪問。 システム定義のチャネル 一致 アフィリエイト |
Referral | 参照元サイトからの訪問。 システム定義のチャネル 一致 参照元サイト |
Paid Search | リスティング広告からの訪問。 システム定義のチャネル 一致 有料検索 |
Other Advertising | リスティング広告・ディスプレイ広告以外の広告からの訪問。 システム定義のチャネル 一致 他の広告 |
Display | ディスプレイ広告からの訪問。 システム定義のチャネル 一致 ディスプレイ |
MCFチャネルグループ
参照元、メディア、広告掲載ネットワークに基いて定義されるのが、MCFチャネルグループです。「MCF」は「Multi Channel Funnel」(マルチチャネルファネル)の略で、その名が示す通り、[コンバージョン]メニューの[マルチチャネル]配下にあるレポートのディメンションとなります。次のページにある8種類に分類され、ほぼDefault Channel Groupingと同じですが、各チャネルの定義はわかりやすくなっています。
MCFチャネルグループのチャネル
チャネル名 | 説明/定義 |
---|---|
ノーリファラー | URLの直接入力やブックマーク、アプリなどからの訪問(ダイレクトトラフィック)。 参照元 完全一致 (direct) AND メディア 完全一致 (not set) OR メディア 完全一致 (none) |
ノーリファラー | URLの直接入力やブックマーク、アプリなどからの訪問(ダイレクトトラフィック)。 参照元 完全一致 (direct) AND メディア 完全一致 (not set) OR メディア 完全一致 (none) |
オーガニック検索 | 自然検索からの訪問。 メディア 完全一致 organic |
ソーシャルネットワーク | ソーシャルメディアからの訪問。 ソーシャルメディアからの参照 完全一致 Yes OR メディア 正規表現に一致 ^(social¦social-network¦social-media¦sm¦socialnetwork¦social media)$ |
メール | メールからの訪問。 メディア 完全一致 email |
参照元サイト | 参照元サイトからの訪問。 メディア 完全一致 referral |
有料検索 | リスティング広告からの訪問。 メディア 正規表現に一致 ^(cpc¦ppc)$ AND 広告掲載ネットワーク 完全一致しない Content |
他の広告 | リスティング広告・ディスプレイ広告以外の広告からの訪問。 メディア 正規表現に一致 ^(cpc¦ppc¦cpv¦cpa¦cpp¦content-text¦affiliate)$ |
ディスプレイ | ディスプレイ広告からの訪問。 広告掲載ネットワーク 完全一致 Content OR メディア 正規表現に一致 ^(display¦cpm)$ |
ユーザーが作成するチャネルグループ
Googleアナリティクスのユーザー(Web担当者)が独自にカスタマイズできるチャネルグループは、その影響範囲によって以下の2種類に分かれます。
ビューに対する閲覧権限を持つユーザー全員に影響するチャネルグループ
ワザ045で解説した、[管理]画面の[チャネル設定]→[チャネルグループ]に作成される分類です。ビューに対する閲覧権限を持つユーザー全員が利用でき、新規に作成するだけでなく、既存のDefault Channel Groupingをコピーしたカスタマイズも行えます。
作成したユーザーだけに影響するチャネルグループ
自分だけが利用できるチャネルグループで、「カスタムチャネルグループ」と呼びます。社内のほかのユーザーには影響を与えないため、自分独自のチャネルグループをテストする用途に向いています。
作成方法は2つあり、1つは[管理]画面の[カスタムチャネルグループ]から新規に作成します。もう1つは[マルチチャネル]配下のレポートから作成する方法で、既存のMFCチャネルグループをコピーしてカスタマイズできます(ワザ138を参照)。
ポイント
- Default Channel Groupingに対して加えた変更は、過去のデータには反映されません。
- カスタマイズして作成できるチャネルグループは、いずれも設定後、すぐに過去のデータにも反映されます。また、[集客]メニューの[概要]や[すべてのトラフィック]→[チャネル]、[コンバージョン]メニューの[マルチチャネル]→[アシストコンバージョン]や[コンバージョン経路]レポートのプライマリディメンションとして利用できます。
- カスタムチャネルグループは、[管理]画面の[アクション]から[公開する]を選択することで、ビューに対する閲覧権限を持つユーザー全員に影響する状態に「昇格」できます。
Default Channel Groupingは、ややブラックボックス化しています。自分にとって明確な定義で分類するなら、チャネルグループを作成しましょう。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
- 本書は2色刷のため、画面はグレースケールとなります。